Vol.153  進化した冷凍技術で「へい!お待ち。」

京樽の冷凍寿司自販機

 ここ数年、新型コロナウイルス禍により外食利用の減少や対面販売が減ったことがきっかけとなり、現在はさまざまな食品が自販機などで冷凍販売される機会が増えたようにみえる。自販機だけでなく、昨今の冷凍技術が格段に進化したことも背景にあり、鮮度が命の寿司もかつての冷凍寿司に比べれば、握りたてとほぼ遜色のないものがスーパーや外食で提供される時代になってきた。今回は冷凍寿司の現在を探ってみる。

冷凍自販機や小売、外食で

「冷凍彩りちらし」

 FOOD&LIFE COMPANIESグループの持ち帰り寿司専門店を展開する(株)京樽(東京・中央区、堀江陽社長)が、昨年12月に同じグループのスシローとのダブルブランド「京樽・スシロー重吉綾瀬駅店」に「冷凍鮨自販機」を初導入。24時間いつでも購入でき、「冷凍鮨」を電子レンジで温めるだけで寿司が楽しめるということで好評だという。今年4月には、回転寿司スシローの「スシロー大宮店」「スシロー春日部店」にも導入した。

 FOOD&LIFE COMPANIES広報では、「自販機設置台数自体は3台なので多くはないが、24時間稼働していることもあり、深夜から朝にかけて(利用者に)販売できている。自販機での売り上げは全体を通じた売り上げの中でも貢献してくれている」と話している。

「冷凍姫茶きん」

 最もよく売れているのは、京樽の看板商品でもある「茶きん鮨」をひと回り小さくした「姫茶きん(6個入り)」だとか。京樽が長年作り続けてきた料理の知見と技術によってできた「冷凍鮨」。今後は自販機の台数をすぐに増やす計画はないが、「冷凍鮨」のBtoB販売やふるさと納税での取り扱いを始めるなど、今後も着実に「冷凍鮨カテゴリ」の販売を伸ばしていく予定としている。

ニーズ高まる冷凍寿司

スーパーでは寿司種とシャリを個々に販売


 総合食品卸である日本アクセスでは、ニーズが高まっている冷凍寿司に対し、特殊冷凍の利点を生かした商品を量販店メインに現在、提案を進めている。その背景としては、生鮮売場での冷凍什(じゅう)器設置の広がりや生鮮売場で販売する素材、産地にこだわった商品の拡充など同社が産地メーカー、特殊冷凍機メーカーとの取り組みを拡大してきた。同社では「急速冷凍機を使うことを前提に商品設計された商品を取り扱うことで、具材やシャリの食味、食感にもこだわり、店舗で調理されたものと比較検討してもらえるレベルだと思っている。量販店だけではなく、高価格商材を使用した商品を外食やデパ地下、電子商取引(EC)サイトで販売することも可能」としており、「冷凍であれば自社の冷凍物流を活用し、全国で販売することも可能になるため、食文化の周知にもつながるだけでなく、獲れ過ぎてしまった魚などを活用することで食品ロスにもつながる。ニーズの高まりと品質の向上により、冷凍だからこそ販売が拡大する可能性がある」と期待している。

 先日、大阪にグランドオープンしたイオンタウン松原では、特殊冷凍機メーカー・デイブレイクの急速凍結機を使った「冷凍dai革命」商品が冷凍寿司を含め、ずらりと並んだ。寿司種コーナーでは冷凍のシャリと寿司種がそれぞれ販売されるなど、新たな寿司の形が示された。

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