Vol.116  安心して楽しむ「おせち」

SNS映えに定評の「カップおせち」は新しい生活様式にも最適

 猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で巣ごもり消費が高止まりし、水産業界では家庭で楽しむおせちの復権の年になるとの期待がある。ただ、帰省や大人数の集まりを自粛するムードは続きそうで、例年と違う切り口の提案が求められている。そんな中、百貨店事業を展開する(株)そごう・西武は、新しい生活様式に配慮したおせちをどこよりも明確に打ち出してきた。「魚食にっぽん」取材班は、同社のうたう「2021年新春おせち料理」に注目した。

小分け、個食、お届け

「コロナ禍抜きには語れなかった」と今年のおせちの企画で話した長岡氏

 「やはり今年のおせちを考えるうえでコロナ禍抜きには語れなかった」と話したのは、そごう・西武リーシング本部リーシング二部フード担当の長岡俊範氏。今シーズンは小分けされているので衛生的、1人前ずつ提供できる、自宅にいながら手配できるといった、消費者の「安心」につながるようなおせち各種を取り揃えた。

 ひと品ずつカップ入りにした「カップおせち」に取り組むのは、実は2年目になる。昨年は一段重の2種類のみながら、交流サイト(SNS)映えすることや、個人の好みで組み合わせられる点を強調したところ、好調に推移。特に見た目の華やかさから人気を博した。

 コロナ禍の今回は「カップおせち」のもつもう一つの側面、取り分けがきれいに楽々できる点を生かし、「清潔感があり安心して食べられるスタイルとして、家族で楽しめるよう二段重にも取り入れた」。加えて、前年は仕切りに沿った四角形のカップだったのを、おしゃれな円形のカップに変更した。「お重から取り出さなくても、立体感が感じられる。少量で多種多様なものを食べたいというニーズにもぴったり」。

 おせち料理は、食べ進むとどうしても食べ残し感が出て、後になるほど箸を伸ばすのがおっくうになる。「『カップおせち』なら取り分けてよけておけるので、きれいに保管できる」。

ひとり重も再浮上

1人前「おひとり重」でも特別感ある商品が増加

 14年正月用に個食対応の一環で始めた1人前の「おひとり重」も、今年はおせちカタログの掲載順上位にもってきた。「全員で箸でつつくのではなく、個々人で安心して食べられる」ことへのニーズが高まると見越した。

 掲載当初はアイテム数も少なかったもののその後に改良され、現在では料亭・割烹(ぽう)の名店の製造・監修による商品など、百貨店らしい特別感のある「おひとり重」が数多く揃っている。全部で12種類の中から選べる。「来客や帰省した家族に個別に出す、一人用おせちとしても最適」だ。

マニア心をくすぐる

マニア心をくすぐる「ウルトラマン55周年おせち」の重箱のデザイン(©円谷プロ)

 歳末恒例の買い出しの客足も、店頭での密を避けたい意識から鈍ることを想定し、自宅にいながらにして購入できる冷凍おせちを中心とした「全国お届けおせち」も、前年から8アイテム増やして33アイテムにした。

 特に異彩を放つのがウルトラマン誕生55周年を記念した「ウルトラマン55周年おせち」。中身の具材はオーソドックスながら、マニア心をくすぐる風呂敷と重箱が付いてくる。幅広いファン層をもつウルトラマンファンの流入が期待できることから、大人向けの黒を基調とするシックなデザインとした。往年のファンが懐かしむオープニングの怪獣のシルエットもきちんと織り込む。「冷凍おせちなので、全国どこへでもお届けが可能。そごう・西武の店舗がない地域のお客さまにもお楽しみいただける」。

 今回のそごう・西武をはじめとするさまざまな関係者が工夫を凝らして迎える21年のおせち商戦。関係者の苦労が実っておせちが売れ、関連水産物がたくさん消費されることを願うばかりだ。

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