ワカメなどの海藻は冬から春先にかけて生産が行われ、新物も順次、市場にお目見えするシーズンだ。海藻類は健康によさそうなイメージがあるが、実際どのような機能性があるのか探ってみたい。
乾燥カットワカメのパイオニアであり、「ふえるわかめちゃん®」シリーズでもおなじみで、ワカメを中心にその機能性などの研究も行っている理研ビタミン。
同社が行ったワカメの機能性研究について、ヘルスケア事業部企画開発室企画グループの吉永恵子さんは「ヒト試験で腸内環境の改善効果、食後の血糖値・脂質上昇抑制効果、血圧とコレステロール低下効果が確認されている。腸内には体の免疫細胞の7割があるといわれており、腸内環境を整えることは免疫細胞にとってもよい環境といえるのではないだろうか」と話す。
同社が実施したヒト試験では、乾燥ワカメの「ふえるわかめちゃん®」4グラムを水戻ししたものを毎日2週間にわたり便秘気味の女性に摂取してもらったところ、摂取前と比較してビフィズス菌の割合が25・8%から34・7%に上昇し、腸内フローラ(腸内細菌の集まり)が変化することが分かった。
ワカメは乾燥重量で半量近くが食物繊維。免疫力アップでヨーグルトや納豆などが注目されるが、腸内でその効果をより発揮させるためには食物繊維が重要な役割を果たすといわれている。
また、食事前にワカメを摂取することで食後の血糖値や脂質の上昇を抑制する効果も証明されている。血糖値試験ではワカメを食前・食事中いずれで摂取しても効果が認められたという。
昨今、健康志向の高まりの中で人気急上昇のメカブ。粘り気が特徴だが、そこに含まれるフコイダンにインフルエンザ感染予防作用があるという。
「高齢者にメカブのフコイダンを毎日300ミリグラム摂取してもらい、摂取開始後4週間目にインフルエンザワクチンを接種し、5週間後に抗体量を測定したところ、フコイダンを摂取していた方が産生される抗体量が上昇していた」(吉永さん)との研究結果を得ている。フコイダン300ミリグラムは大体、生メカブであれば40グラムほど。スーパーなどで販売されている生食メカブ1パックが大体40グラムなので、一日1パックを目安にするとよいだろう。フコイダンは「メカブ以外にもモズクやワカメ、ガゴメコンブ、マコンブ、アラメなどの褐藻類に含まれている」(同)のでメニューによって変えるとバリエーションも増える。
食後の血糖値の上昇を抑えるうえで、ワカメと酢を合わせた方がより効果的との報告もあるほか、動物実験の段階ではあるが脂肪燃焼に関わるカルニチンがワカメと魚油を一緒に取ることで増加することが分かっている。
今回紹介したワカメやメカブ以外にもモズクやノリ、コンブなどもミネラルやカリウム、ビタミン類など体に必要な栄養素が豊富に含まれている。手軽に手に入り、保存もできる海藻をうまく利用することで、バランスのよい食生活を送り、健康維持につなげてほしい。