Vol.158  減塩課題 技術でサポート

「ソルとも」を発表した三木室長(右端)ら

 さじ加減次第で料理から健康まで左右してしまう調味料、塩。
減塩が重要なことは頭では理解しているのに、ただ塩を減らすだけなのに、実際に行動に移して継続するとなると意外にも難しい。
そんな国民の健康課題である減塩をテクノロジーで解決しようとする取り組みが始まっており、将来的には魚料理にも浸透していくかもしれない。

3社協力で魚料理も

 越後の名将、上杉謙信が宿敵の武田信玄に塩を送った日とされ「塩の日」に定められている1月11日。食品と関わる総合容器メーカーの東洋製罐グループホールディングス(株)、電機メーカーのシャープ(株)、ヘルスケアスタートアップの(株)おいしい健康の3者は共同で記者会見を開き、食塩使用量を可視化するモノのインターネット(IoT)サービス「ソルとも(Saltomo)」を発表した。

 

「プッシュタイプ」は塩以外にも対応することも検討している

 同サービスは専用デバイス(端末)とアプリで構成され、面倒な調味料の計量や記録、減塩レシピの献立作りなどを総合的にサポートすることを目的に開発された。デバイスは、顆(か)粒の塩を一定量出せる「プッシュタイプ」と、使用前後の醤油の重量差で塩分量を計測する「トレータイプ」の2種類。
 塩分量のカウントだけでなく、使った調味料の種類、日付などの情報も自動でアプリで集計される。

 

 

「トレータイプ」の実演の様子

 また記録だけでなく、摂取済みの塩分量を鑑みた減塩料理を連携したアプリが提案する機能も備えている。100を超えるレシピはすべて管理栄養士の監修で、素材同士の相性やダシなどのうま味の強い食材を上手に組み合わせ、手軽かつ無理なく減塩に挑める仕組みを構築した。

 

 

魚料理も豊富

減塩メニューには魚メニューも豊富

 実際にレシピを開いてみると、和洋問わず前菜からメイン料理まで幅広くラインアップ。
 水産でもアジのカレー、サワラの塩野菜あんかけ、スズキのムニエル、タイのカルパッチョなど多彩なメニューがあり、アプリを紹介した担当者も「減塩だけを意識したのではなく、おいしさも大切にしている。魚介はより素材のうま味が感じられるのでは」と語り、魚料理でも「ソルとも」が活躍できる可能性を示唆した。

 一般販売はまだ行われていないが、まずは調味料メーカーや飲食店、病院などと協力し、早ければ今年中に実証実験を開始する。今後は塩と醤油以外の調味料の対応を検討するほか、現場で求められる機能も探っていく。そして端末の販売だけでなく、塩分摂取に関する幅広いデータも集めたマーケティング支援などを含めたビジネスモデルの確立も狙っているようだ。

 厚生労働省や日本高血圧学会は一日の塩分摂取の推奨量を6グラム以下としているが、日本人の平均はおよそ10グラムと超過した状態が常態化している。主にハードルとして挙げられているのは、①食塩が見た目に見えない②おいしさが犠牲になる③計量の煩わしさ―の3点だ。
 会見に登壇した東洋製罐グループホールディングスの三木逸平イノベーション室長は「(同サービスによって3つの)ハードルを下げ、減塩を意識するものから無意識に変えていきたい」と意気込んだ。

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