Vol.118  魚の絵 地域振興

沼津4漁協の絵を掲げる翔太君。大漁旗の元デザインとなった

 水産の街としても知られる静岡県沼津市に、深海魚をはじめとした地魚の絵を描き、地域振興に貢献しているスーパー小学生がいる。鈴木翔太君(10歳)だ。鮮やかな色使いと構図の面白さが特徴。県の内外で個展を複数回開くなど、すでに幅広い活躍をしている。今年6月に市が公認する「おさかなアートクリエーター」に就任。市の広報活動に協力することになった。翔太君の素顔を追った。

沼津の水産業PR、夢は海外

沼津我入道漁協「市場めし食堂」壁画前での任命式の様子。㊨は賴重市長(沼津市提供)

 絵を描き始めたのは1歳の頃。当時は車や電車が好きでよく描いていた。保育園の先生に褒められ、ますます絵にのめり込んだ。小学2年生の時、絵だけはほかの子たちに負けないようがんばろうと決めた。好きな対象物はどんどんと移り変わっていき、恐竜から、古代魚を経て、深海魚にたどり着いた。

 売場デザインのコンサル業をしている母・千春さんの勧めで、古くから深海魚で地域振興をしている戸田漁港近くのコンビニに3畳分の壁画を描くことになった。夏休みに週4回ペースで通い詰めて、図鑑やパソコンで海を泳ぐ魚の姿を調べながら、深海魚32尾を鮮やかな色使いで描き切った。それが地元紙の目に留まって記事になり、地元テレビが取り上げて個展開催の誘いにつながった。
 最初の個展は小学2年生の冬。地元の道の駅を舞台に「ぼくのだいすきなしんかいぎょ展」のタイトルで開かれた。展示20作品は終了後にオークションで販売し、地域活性化に取り組む地元団体に売り上げの6割を寄付した。その後も個展のたびに絵を描き、売り上げの大半を地元団体に寄付する活動を続けてきた。

市を挙げて活動を応援

マルシェ「PORT83 マーケット」で翔太君デザインのエコバッグや缶バッジを販売(沼津市提供)

 市が活動の公認に動いたのは、小学5年生になった今年。「早くから活躍は耳にしていた。一緒に市のさまざまなPR活動ができたら」(市水産海浜課)と「おさかなアートクリエーター」という名称で公認し、市を挙げて翔太君の活動を応援することになった。

 折しも地元4漁協の一つ、JF沼津我入道漁協がオープンを目指していた「市場めし食堂」の壁画「駿河湾の海洋生物」を描いていた時だった。食堂開業前の6月、翔太君の壁画の前で任命式が開かれ、賴重秀一市長から直々に任命書と特製の名刺が手渡された。

 それからは個展と並行し、沼津市などと連携した仕事をこなしてきた。沼津港の賑わい施設「港八十三番地」のマルシェ「PORT83 マーケット」では、3年後に沼津港で開かれる「Sea級グルメ全国大会」をPRする市のブースで、オリジナルエコバッグや缶バッジなどを販売。地元漁協のJF戸田漁協の移動販売車のラッピングデザインなども手掛けた。

 ららぽーと沼津開業1周年を記念して10月に開かれたイベントでは、沼津で活動しているアーティスト5人のうちの1人として大漁旗を描いた。沼津4漁協(JF戸田、JF静浦、JF内浦、JF沼津我入道)とその特産を表した絵で、最年少とは思えないクオリティーが見る者を驚かせた。

好みは焼き魚と煮魚

戸田漁協の移動販売車のデザイン変更にも全面協力。漁協の車両のラッピングをするのは県内初の事例という(母・千春さん提供)

 地元には日本唯一の深海水族館がある。いちばんのお気に入りはシーラカンスの冷凍標本だ。「描くことが楽しいし、描いて楽しい魚を選んでいる」と無邪気に話す翔太君。食べる方の好物は「キンメダイ、クロムツ、シロムツ…あとは釜揚げシラスとタチウオ、ウナギの蒲焼!」と子供らしからぬ渋いチョイス。活動を支援する母の千春さんは「高級魚の焼き魚と煮魚にほんと目がないんです」と目を細める。

 これからも大好きな魚を描き続けて、絵を見ることを通じて魚好きを増やすとともに沼津市を盛り上げていく。今年6月には東京「しながわ水族館」での個展を経験したが、来年12月には東京・銀座での個展を控えている。小学生のうちに海外の水族館で個展を開き、絵を通じて世界中の子供たちに駿河湾や深海魚含む海洋生物、沼津市の魅力を伝えるのが翔太君の今の夢という。

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