Vol.300  魚の価値、正しく伝えたい

魚を釣るとメダルを獲得できるゲーム「釣りスピリッツ」

 ㈱バンダイナムコアミューズメント(川﨑寛社長)は、魚釣り体験ゲーム「釣りスピリッツ」上で釣れる魚が離島から自宅へリアルに届く「ぱくぱくキャンペーン」を9月6日~10月31日に実施した。大画面モニターを泳ぎ回る魚を「サオ型コントローラー」を使って釣り上げるゲームで、メダルを使ってロッドを選び、魚が釣れるとメダルを獲得できる。なぜ今回「リアルの魚」とのコラボに至ったのか。ゲームの生みの親であるプロデューサーの小山順一朗氏にインタビューした。

「釣りスピリッツ」プロデューサー小山氏に聞く

「ゲームを通じて海洋問題に関心をもってほしい」と語る小山氏

 子供たちにゲームセンターで釣りを楽しんでもらおうと開発を始めた小山氏。しかし、サメやエイ(マンタ)などの大物を釣るとメダルを多く獲得できるようにした結果、子供たちが魚の価値をメダルで判断し、少ないメダル数を設定していた身近な大衆魚が軽んじられるようになってしまった。「魚本来の価値を子供たちに正しく魅力的に伝えなければ」と考え、昨年から方向転換を図った。

 日本近海には3700種もの魚がいて、「釣りスピリッツ」では約180種類が釣れる。「ゲームに登場する魚の価値を正しく伝え、海洋環境や漁業、離島が抱える問題について子供たちに関心をもってほしい」とリアルな魚が届くキャンペーンを開始。漁業の再興には、生産者が子供たちの目に魅力的に映ることが大事だとの考えももっており、今後もリアルの魚との結び付きを強化し、離島や漁業関係者を応援していく意志を示した。

漁業の現場に赴く

「日本の漁業が抱える問題が最も顕著に表れている」と離島の魚に着目した

 小山氏はゲーム開発やキャンペーンの調査で、水産業の現場へ頻繁に足を運んだ。静岡・沼津市では次のバージョンの参考にしようと、同ゲームのスタッフと底びき網船に乗った。だが、漁獲された魚が入る樽(たる)一つ分の値段が1万円もせず、さらに3~4割は市場で売れずに未利用魚として廃棄されている実態に疑問をもった。

 長崎・対馬では「釣りスピ調査隊」として、現地の人たちと交流して離島特有の問題を知った。「ぱくぱくキャンペーン」であえて離島に注目したのも、日本の漁業が抱える問題が最も顕著に表れている場所ではないかと考えたからだ。

資源の大切さ伝える使命

sakana bacca豪徳寺店で「ぱくぱくキャンペーン」の一環として実施された離島フェアの様子

 リアルな魚が届くキャンペーンでは、長崎・対馬のアオハタ、クエ、アカハタ、東京・三宅島のアコウダイ、アオヤガラ、オオモンハタ、福岡・玄界島のイサキ、コブダイ、テナガダコなどが送られた。また、9月7~20日はキャンペーンの一環として㈱フーディソン(東京・中央区)が運営する鮮魚店「sakana bacca」の店頭にもさまざまな離島の魚が並んだ。

 小山氏は今回の企画に参加した人からの「普段丸の魚を買うことがないのでよい機会になった」「子供たちにとってよい食育の機会になった」などの反響に感動したという。「普段当たり前においしい魚を食べられるからこそ、漁師さんたちへの感謝の気持ちや、海洋環境にまつわる多くの課題を忘れてしまいがちだが、ゲームを通じて子供たちへ伝えることができる可能性を感じた」と話す。

 今回のキャンペーンで得た知見は開発チームに大きな影響を与え、海洋資源の大切さを伝えていく使命に燃えているそうだ。新バージョンへの意欲も高く、「さまざまなアイデアを盛り込んで開発進行中だ」という。

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