Vol.113  うちで捌こう♪ステイホームで変化

「さばけるチャンネル」ではマダイの再生回数が最も多い

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の期間中は、自宅で食事をする人が急増した。「ステイホーム」が推奨され、飲食店の営業も制限されたためだ。交流サイト(SNS)上では「#おうちでごはん」が定着し、自炊を楽しむ動きもあった。魚食はどうだろう?

魚調理に興味津々

さばけるチャンネル視聴回数(2020年3月1日~5月31日)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の期間中は、自宅で食事をする人が急増した。「ステイホーム」が推奨され、飲食店の営業も制限されたためだ。交流サイト(SNS)上では「#おうちでごはん」が定着し、自炊を楽しむ動きもあった。魚食はどうだろう?

 コロナ禍での魚食については前回のうぉーくにっぽんでも触れたが、「これを機に丸魚を買って捌こう」という人が急増したわけではなさそうだ。切身は調理できるが、1尾を捌くのはハードルが高いということか。

 だが、潜在的に「自分で捌けるようになれたらいいな」と考えている人を刺激するには、十分な期間だったともいえる。

視聴者の年齢(2020年1月~5月)

 日本財団が推進する海と日本プロジェクトの一環で実施する「日本さばけるプロジェクト」は、魚捌きに特化した「さばけるチャンネル」で、約100魚種の下処理や調理方法などを約140の動画で紹介している。服部栄養専門学校で日本料理の講師を務める西澤辰男氏が監修しており、手順の分かりやすさが好評だ。2016年の開設以降、チャンネル登録者数は約16万6000人、累計視聴回数は2000万回を突破する人気サイトに成長している。

 同チャンネルのアクセス解析によると、4月上旬から視聴回数に上昇傾向がみられる。くしくも政府が4月7日に7都府県で緊急事態宣言を発令、16日には全国へと拡大した時期と重なる。

視聴者の性別(2020年1月~5月の視聴回数)

 社会的に不要不急の外出控えが定着した4月下旬にも大幅な上昇があった。ゴールデンウイークに突入すると一日3万回を超す日が相次ぐ。母の日(5月10日)前も同様に推移しており、5月30日は期間中最大の3万8656回に達した。

 視聴時間は午後5~7時に集中して、土曜日のアクセス数は群を抜く。平日の視聴は夕飯の調理の参考以外にも、帰宅時や食事を待つ間に「こんな料理をしたい」と構想を練り、時間のある土曜日に満を持して魚を買って、ハレの日の夕食に仕立てていたのだろうか。

 視聴者の8割近くが男性だが、視聴時間で男女の差はほぼない。興味が先行する男性と、何度も繰り返し視聴し、実際に調理してみる女性との違いとも考えられる。

 あくまでも、仮説にすぎない。だが、緊急事態宣言の期間中は自宅にいて時間を持て余す人が多く、子供のいる家庭を中心にこの説は成り立っていたのかもしれない。

料理写真を投稿「子供と一緒に」

完成した魚料理や家庭での調理風景が投稿された「おうちで海ごはん」

 海と日本プロジェクトのstay home with the seaプロジェクトでは、4月27日から5月31日まで「おうちで海ごはんキャンペーン」を実施した。「これが我が家の海ごはん!」をテーマに、海の素材を用いた家庭での料理写真をインスタグラムに投稿する企画だ。

 事務局によると約2500の投稿があり、自宅待機の児童と一緒に「こどもの日に作ってみました」「母の日にお父さんと料理した」というコメントも多かったそうだ。この企画を契機に魚に興味をもったという子供や、動画配信サービスで自分の調理チャンネルを開設した人もいたという。

 在宅を強いられたことで自炊が増え、手軽な肉食率が高まるとヘルシーな野菜、そして魚に目が向いた。以前から関心のあった捌く所から動画を参考に始めてみたら、家族にも好評だった。こうした流れがあったならば、水産業界は二の矢を継ぎたいところだ。

 これまでは「時短」への追求が大きい比重を占めていた魚料理。だが、さばけるチャンネルのデータなどから、こうした変化を読み取り、仮説を立てることができた。

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