【ととけん】2024年2月問題
Q1. 光を反射してキラキラと光るこの魚の体長は10センチほどですが、これでも立派な成魚です。主に海水と淡水が混ざり合う汽水域にすみ、早春のころにしか獲れないことから「春を告げる魚」といわれるこの魚を選びなさい。[2023年(第14回)3級(初級)から]
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【解答】④シラウオ
【解説】シラウオは、海から川に入って産卵したあと死んでしまうサケの仲間の一年魚だ。生きているときは透明な体が、死んだとたんに白くなることが「白魚」の名前の由来。鮮度落ちがたいへん早く、味も落ちるので、手早く調理する。古くから人気のある食べ方「卵とじ」のほか、春先になると江戸前のすし屋さんの寿司ダネになり、軍艦巻きに盛られる。甘みと苦みがほどよく相まって美味この上ない。辛子酢みそとの相性がよい酢のものや、香ばしく、それでいてシラウオの味わいが生きるかき揚げや天ぷらなどの揚げものにも。味わいのみならず繊細で美しい見た目から、白くてほっそりした指をもつ女性を「白魚のような指」「白魚をならべたよう」と形容するほめ言葉もある。
Q2. 北海道の中部以南から九州各地まで広くとれるのですが、産地をみると岩手と宮城、徳島の3県で全国の8割以上が水揚げされています。主産地の三陸地方では、春先の生をかつおだしの中ですすいで食べるのが最もおいしいというこの魚介を選びなさい。[2023年(第14回)2級(中級)から]
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【解答】④ワカメ
生ワカメをかつおだしにすすぐと磯の風味とこりこり食感が楽しい
【解説】全国どこでもとれそうなワカメ。実は、主産地の三陸地方や徳島県などトップ3県で83%を占める。2021年の生産量の全国第1位の宮城県は1万9千㌧余り(全国シェア43.3%)、2位の岩手県は1万3千㌧余り(同30.6%)、3位の徳島県は4千㌧余り(同9.4%)。
新ものを目にする春先は、肉厚な生ワカメが味わえる季節だ。ワカメ漁は冬の終わりから春にかけて最盛期を迎える。旬の生ワカメはシコシコとした歯応えと風味の良さが特徴で、味噌汁のほか、しゃぶしゃぶや酢味噌あえにしてもおいしい。ワカメはミネラルたっぷり。ビタミンなど不足しがちな栄養素を豊富に含む。暑さに弱く夏は小さな配偶体という姿で、海底でひっそりと過ごす。涼しくなる秋に発芽し、冬の荒波にもまれながら大きく成長する。収穫したてのワカメは茶褐色だが、湯通しすると鮮やかな緑色になる。これはワカメの葉に含む赤色の色素が、熱湯に通すことで黄色に変わるから
Q3. 英国の料理に“キッパー”なるノルウェー沖でとれる魚の燻製があります。北ヨーロッパ一帯でよく食べられている大衆魚で、オランダでは口を天に向けて一尾丸ごとの魚の尻尾をもち、頭の方からかぶりつく“ハーリング”が名物。日本でもおなじみのこの青背魚の正体を選びなさい。[2023年(第14回)1級(上級)から]
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【解答】③ニシン
【解説】食事がイマイチ。そう評されてばかりの英国の料理を擁護したのが作家ジョージ・オーウェル(1903~50年・代表作に『1984年』『動物農場』)だ。エッセイのタイトルは『イングランド料理を弁護する』。そこで「イングランド人自身すら、イングランド料理は世界で一番まずいと言う」と認めつつ、こう続ける。「英語圏の国以外で手に入れるのは不可能な美味がたくさんある。私自身が外国で探しても見つけられなかったものをいくつか挙げてみよう」 最初に挙げたのが“キッパー”だった。ニシンの燻製だ。英国屈指のホテル「ザ・リッツ・ロンドン」の朝食メニューにも並んでいるし、またイングランド北部の宿では朝食メニューの定番になっている。英国人も魚を朝食に食べるのだ。注文すると、魚がトーストされていない食パンと一緒に出てくる。大胆にも食パンの上にのって出てくることもある。魚は白米でしょ、と言いたくなるが、そこは我慢する。イングランド北東部の漁村ウィットビーに、このキッパーづくりで知られる名店「フォーチュンズ・キッパーズ」がある。昨年150周年を迎えた1872年の創業。極寒のノルウェー沖でとれたニシンを開いて内臓を取り出し、塩水にしばらくつけてから燻製小屋に吊るす。いぶすのは丸一日。ニシンの表面が黄金色(ゴールデンブラウン)になるまで待つ。納得のいく色合いと感触になったものから店に並べる。地元の宿や飲食店に加え、英国中のファンが買いに来る。町外の客が8割を占める。
食習慣のないアジと異なり、ニシンは北ヨーロッパ全般で大衆魚として親しまれ、焼いたり、フライ、干物、燻製、マリネなどで食べるが、オランダで一番人気があるのが“ハーリング”。ニシンを丸一日塩につけ、塩抜きした後にそのまま食べるもの。生の魚を食べる習慣のないなかで、唯一といっていいほどの例外。6月中旬のニシン漁解禁には各地で「ハーリング祭」が開催され、ハーリングの売店には行列ができる。
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