【ととけん】2023年8月問題
Q1. 「子どものころ、夏休みは“イガイガ~”の声で目がさめた」 この港近くで育ったおとなたちは一様にこう言います。“イガイガ~”とは水揚げされたばかりのイカを売る行商の声、この港町を選びなさい。[2022年(第13回)3級(初級)から]
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【解答】①函館
【解説】「イガ~」 夏の朝食は毎日イカ刺し。そんな食習慣が今も残る北海道の函館でイカ刺しを食べたら、だれもがイカのイメージをぬりかえる。まず、白いはずのイカが透きとおっている。そして、パリパリとした歯ざわり。一度食べたら忘れられない味わいだ。スルメイカは夏から冬にかけて東シナ海で生まれ、えさを求めて日本海を北上し、サハリン沖でUターンして産卵のためにまた南下する。全周期は1年。
全国でとれるスルメイカは同じものなのに「東北の漁師も首をひねる」食感は、函館の海に秘密があるらしい。函館のイカ漁師は「えさになるプランクトンがおいしい。海流のせいもあるだろうが、ほんとうのことはわからない。北海道でも函館のイカだけ違う」という。函館のスルメイカ漁の解禁期間は6月1日から翌年の1月末までだが、60隻ほどのイカ漁船は12月末に漁を終える。漁船は夕方から沖に出て、水産市場のセリが始まる朝5時までに帰る。光を好むイカを誘うため、漁船は集魚灯の明るさを競う。これが漁火だ。夜の真っ暗な沖合に漁火がならぶ光景は幻想的。ただし、イカは光を好むのではなく、夜行性で目がいいため集魚灯がまぶしくて船の陰に集まるともいわれる。解禁当初の小さくやわらかいイカは、イカごはんなど姿のまま加工食品にされる。生で食べるなら7月下旬から8月中旬の、大きさ、味、歯ごたえともそろった「青年期」が満点。秋から冬の大きく厚いイカはするめなどの珍味に多用される。水揚げされたイカは水産市場をへてすぐに各地に運ばれるが、いけすイカ(活イカ)はすべて函館市内で消費される。
Q2. 食生活に気を配っている人でも不足しがちなカルシウムは、食品から一度にたくさん摂取することが難しい栄養素ですが、和食には ア や イ のように煮汁やつけ汁を酸性にして骨を柔らかくする知恵があります。下線部にふさわしい料理の組み合わせを選びなさい。[2022年(第13回)2級(中級)から]
①ア:あじの塩焼き イ:さんまの蒲焼き
②ア:あじのたたき イ:いわしの蒲焼き
③ア:あじの南蛮漬け イ:いわしの梅煮
④ア:あじのなめろう イ:さばの味噌煮
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【解答】③ア:あじの南蛮漬け イ:いわしの梅煮
【解説】世界一の長寿国日本で、とても重要な栄養素がカルシウム。加齢による骨量の減少で起こる腰や膝、さまざまな関節の痛みは、活動範囲をせばめてしまう。骨量の減少は男女ともに起きるが、減り方に違いがある。男性は10代の成長期に爆発的に増加しそれがある程度維持され、50代くらいから少しずつ減っていく。一方、女性の骨量は、女性ホルモンの影響を受けているため、初潮の2~3年後に増えるとそれが維持されるが、閉経により激減する。女性に骨粗しょう症が多いのはそういった理由もあるのだ。骨量を増加させ、骨を強くする栄養素には、ビタミンD・K、カルシウムがあるが、不足しがちなカルシウムは食品から多量に摂取することが難しい栄養素だ。肉や魚の骨を全て食べればカルシウムを一度にたくさんとることができるが、小魚や鳥の軟骨以外は硬く、のどに刺さる危険性もあり食べる人はほとんどいない。そこでおすすめなのは、カルシウムが酸性によって溶け出す性質を利用した調理法。イワシの梅煮やアジの南蛮漬けは、煮汁やつけ汁を酸性にして骨を柔らかくする。たとえ骨そのものを食べなくても、カルシウムが煮汁に溶け出しているので、身にもしみ込んでいく。煮汁を身にからめながら食べればさらにカルシウムを多くとれる。
Q3. 世界中の漁師町には必ずといっていいほど、ご当地ならではの魚介のごった煮があり、水揚げされた魚介を煮込み、地元の調味料やハーブで味付けします。日本ならば醤油や味噌に葱ですが、フランスのマルセイユになると、南仏らしくオリーブオイルにニンニク、トマト、そしてサフランとなる、この料理を選びなさい。[2021年(第12回)1級(上級)から]
①アクアパッツァ
②カルパッチョ
③セビーチェ
④ブイヤベース
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【解答】④ブイヤベース
【解説】かの有名なブイヤベースは、他のごった煮とは一線を画す。なぜなら、世界3大スープの1つにされているし、守るべき「憲章」まで定められているのだから。1980年にマルセイユのレストラン関係者によって決められた憲章にはこうある。まず使う魚介は4種類以上で、地中海にすむカサゴ、白カサゴ、赤カサゴ、ケアシガニ、ホウボウ、“サン・ピエール”ことマトウダイ、アンコウ、アナゴの中から選ばなくてはならない。オプションでイセエビやセミエビを使うこともできるが、これはどうもアメリカ人向けのようである。そして合わせる素材は玉ねぎ、ニンニク、じゃがいも、トマト、フェンネル(ハーブの一種)、パセリ。調味料はオリーブオイル、サフラン、塩、こしょうのみ。レストランによってはムール貝やイカを入れるのは邪道としている。そして、憲章ではブイヤベースのサービスの方法まで記されている。寄せ鍋のように皆で気軽につつくのではなく、テーブルに座ってスープと具を分けて食べなければならない。最初にスープのみが出てくる。ニンニクやクルトン、ルイユ(ニンニクと赤唐辛子のソース)が添えられているので、クルトンにニンニクをすりつけてスープに浮かせたり、ルイユを加えて味に変化をつけたりしながらスプーンで飲み干す。すると魚介の身が運ばれてくる。給仕人が切り分けて皿にのせてくれるので、それをナイフとフォークで食べる。そう、ブイヤベースはごった煮の体をしていながら、洗練されたレストランで食べるべき特別な料理なのである。日本でなら先に味噌汁だけを飲んで、次に魚介の身を食べるということか。お箸とお椀の島国では生まれなかったスタイルであることには間違いない。
イタリア語の「狂った水」という意味の郷土料理①アクアパッツァはイタリア発祥の魚の煮込み料理でブイヨンに頼らず、水から魚を煮て旨みを引き出すシンプルな料理。②カルパッチョは、そもそもは薄く切った生の牛肉にチーズやオリーブオイルをかけたイタリア料理。魚介のカルパッチョは刺身を使った日本風アレンジ料理であるが、カルパッチョの発祥国イタリアにおいても、世界的な刺身ブームの影響を受け、生の魚肉を使ったカルパッチョや、野菜やフルーツを使ったものも多くなってきているという。③セビーチェは、細かく切った魚介類を玉ねぎやコリアンダー(パクチー)、唐辛子と合わせ、柑橘(かんきつ)類の果汁でマリネしたラテンアメリカ、ペルーの伝統料理。
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