【ととけん】2023年7月問題
Q1. 大阪には、梅雨の時期からうまみが増して最高の旬をむかえる「麦わら ア に祭り イ 」という言葉があります。下線部にふさわしい魚の組み合わせを選びなさい。
[2018年(第9回)3級(初級)から]
①ア:アジ イ:ハモ
②ア:アナゴ イ:アジ
③ア:タコ イ:ハモ
④ア:タコ イ:アナゴ
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天神祭・ 舟渡御 ©大阪観光局
【解答】③ア:タコ イ:ハモ
【解説】「麦わら蛸(ダコ)に祭り鱧(ハモ)」とは、大阪のタコとハモの旬をいい表したものだ。麦わらダコは麦を刈り入れる初夏、6月に獲れるマダコのこと。その年に生まれた子ダコで、皮までやわらかく身質もよい。大阪府の和泉、河内や関西圏の農村地域では、田植え後、梅雨明けの草取りが終わった半夏生の時期に、タコを食べて疲れを癒やしていたそう。半夏生とは夏至(一年で最も日中が長い6月21日ころ)から数えて11日目、今年(2023年)は7月2日。田植えが終わり、稲がタコの腕のように四方八方に根付くことを祈る意味もあるという。ハモは入梅時から脂がのり始め、身がやわらかくなるため、関西では夏の食材として親しまれてきた。舟渡御で有名な天神祭など、7月の大阪市中の夏祭りに欠かせない魚である。
Q2. ある魚介の肝で、一般にはワタと呼ばれます。北国の産地に行くと、胴体にワタを入れて焼く“ゴロ焼(ポンポン焼き)”などに出合えます。加熱してもおいしく、独特の香りがたちのぼる夏の味覚を選びなさい。[2020年(第11回)2級(中級)から]
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スルメイカ
【解答】④スルメイカ
【解説】イカの中で最も漁獲量の多いスルメイカは、日本海全域で獲れる夏の味覚。肉厚の身を薄く切り、だしじょうゆですすり込む“いかそうめん”などの刺身から、里芋とあわせた煮物やいかリングなどの揚げ物、ゆで物、炒めものまで調理の応用範囲が極めて広い。また、もち米を詰めて甘辛く煮た北海道の郷土料理“いか飯”は全国的に人気。
そのスルメイカの足を微妙な力加減でひきぬくと、内臓もスルリと出てくる。そこには茶がかったオレンジ色の大きなワタ(肝)が。利用法としては塩辛が有名だが、脂があって濃厚な味わいのワタは、トロリつぶせばスルメイカの刺身のすばらしいソースにもなる。加熱しても美味で、ゲソもエンペラも、身のすべてを炒め、そこにワタをからませると、もはや調味料の出る幕なしの複雑で絶妙な味かげんになる。このワタをゴロと呼ぶ北国に行くと、胴体にワタを入れてつまようじで閉じて焼く、“イカのゴロ焼(ポンポン焼きとも)”などに出合える。
①~③いずれも肝を食材にする魚介で、とくに①②は海のフォアグラとも呼ばれる絶品の肝をもつ。
Q3. マルチ才人で知られた赤瀬川原平のべストセラー『新解さんの謎』は、三省堂「新明解国語辞典」の不思議な世界に踏みこんだ著作です。この辞書の中に魚好きな謎の男がいると突きとめ、その証拠とする語句の説明文を以下のように取り上げています。下線部にふさわしい魚介を選びなさい。
[2019年(第10回)1級(上級)から]
:背びれに毒のとげが有る近海魚。ぶかっこうな頭をしているが、うまい。[カサゴ科] 赤瀬川原平「新解さんの謎」文春文庫96・97頁
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【解答】②おこぜ
【解説】赤瀬川原平は著書の中で「新解さんは、魚好きである。(中略)辞典なのに、自分の好きなものには、おいしいだの、うまいだの言っています。」として、うまい、美味と説明している魚介の例をあげている。①のあこうはこんな具合だ。
あこう だい:[赤魚の意]タイに似た深海魚。顔はいかついが、うまい。[カサゴ科]
②オニオコゼは、ベタ褒め。
おこぜ:背びれに毒のとげが有る近海魚。ぶかっこうな頭をしているが、うまい。おこぜはフサカサゴ科もしくはオニオコゼ科の標準和名オニオコゼ(鬼虎魚)、白身ながら味に深みがあり活けの刺身、汁物は「冬のフグ、夏のオコゼ」と称されるほど、うまい。
このほかに謎の男、新解さんがうまいと言いきっている魚介はあかがい、いしなぎ、たらばがに、はまぐり等だ。
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