【ととけん】2023年12月問題
Q1. 今から400年ほど前、伊豆七島の新島で生まれました。近海でアジやアオムロ、トビウオなどがとれ、また魚の干物をつくるのに適した白い砂浜があったからといわれる、伊豆諸島の特産品を選びなさい。[2022年(第13回)3級(初級)から]
①くさや
②しゅとう(酒盗)
③つくだ煮
④へしこ
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【解答】①くさや
【解説】くさやが生まれたのは江戸時代のこと。干物づくりに必要な塩は年貢として幕府に納める貴重品だった。塩を節約しようといちど使った塩水を何回も使ううちに、魚から滲み出た成分が微生物を育み、汁が発酵しはじめたのだ。くさや汁の誕生だった。とても臭いにおいがしたが、大変おいしい液体となったため、そこに魚を漬け込み天日でかわかした干物は、江戸でおいしいと評判に。これが名物「くさや」の誕生物語だ。今では、クサヤモロ(アオムロ)、ムロアジ、トビウオのほか、シイラやサンマなども使われる。
②酒盗は、カツオやマグロなどの内臓を長期に塩蔵熟成する塩辛。③つくだ煮は、東京・佃島で生まれた魚や貝、海藻の保存食品。もとは塩煮していたが、銚子や野田のしょうゆが普及して後、しょうゆ味に変わったという。④へしこは、福井県若狭地方に伝わる魚のぬか漬けのことで、サバをはじめイワシやニシン、フグでも作られ、最近では全国的に人気が高まっている珍味。
Q2. 東京・銀座のアンテナショップの中にある飲食処「おきゃく」に行くと、メニューを開くだけで腹が鳴るようでした。まずは、店内にて藁で炙るカツオを「塩たたき」で。そして、おそらく都内ではここでしか食べられない「ウルメイワシのお造り」、〆に豪快な「まるごと鮎の土鍋ご飯」をいただきました。このアンテナショップの名称を選びなさい。[2022年(第13回)2級(中級)から]
①いわて銀河プラザ
②おいでませ山口館
③まるごと高知
④わかやま紀州館
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【解答】③まるごと高知
【解説】一つの街にいながら、日本全国の味めぐりができる。銀座は、そんな魔法が可能になる。各県のアンテナショップが多く、隣接した郷土料理店がある。そもそもにして、各県の郷土料理屋も多い。その気になれば、九州縦断でも東北縦断でも、東海道五十三次もできる。銀座1丁目の「まるごと高知」の2階にある「おきゃく」に行ってみた。ネーミングからして高知そのもの。おきゃくとは高知流の宴会のこと。主人は十分な酒と料理を用意しておく。客は好きな時に出向き、居合わせた人と酒を酌み交わし、料理をつまむ。盆や正月、冠婚葬祭、近所の神社の祭りなどの際、お客を招いて家でもてなし、顔なじみも初顔も分け隔てなく飲み交わしていたのが起源と言われている。
その「おきゃく」で、メニューを開けば、カツオ、ウルメイワシ、シイラ、清水サバ、ウツボ、四万十青海苔、四万十アユ、はちきん地鶏と、高知のスター食材が並んでいた。お勧めは数あれど、まずはカツオだろう。土佐の漁師が一本釣りしたカツオが直送され、店内にて藁であぶられているので、なんとも香ばしい。ポン酢のたたきも良いが、お勧めは「塩たたき」。ポン酢仕立てより、カツオの滋味が引き立ち、クセになる。丸干しにしてもっぱら目刺し、頬刺しになるウルメイワシを、土佐市宇佐町ではテグスで釣りあげる。名づけて「宇佐もん一本釣りうるめいわし」。伝統漁法の一本釣りを継承し、さらにカツオ同様、釣りあげ後も魚体に手を触れることなく氷水で活き締めすることで、鮮度抜群のウルメ生食を可能にしたのが「ウルメイワシのお造り」だ。清流・四万十川のアユが主役の「まるごと鮎の土鍋ご飯」も高知らしい豪快さ。秋には脂ののった「清水サバのお造り」が登場するそうだ。
Q3. 三陸地方、とりわけ宮城県の年越し、正月に欠かせない子持ちガレイです。そのため、大型のメスはたいへん貴重なものになります。このカレイの通称と標準和名の組み合わせを選びなさい。[2022年(第13回)1級(初級)から]
①アマテガレイ 和名:マコガレイ
②クチボソ 和名:マガレイ
③タカノハガレイ 和名:マツカワガレイ
④ナメタガレイ 和名:ババガレイ
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【解答】④ナメタガレイ 和名:ババガレイ
【解説】正月といえばお節料理。皆さんの家では、どんなごちそうを食べますか? 情報や物流が全国で均一化されても、その地方ならではのお節料理を食べないと正月が来た気がしないという人も少なくないはず。三陸地方には、冬に産卵期を迎え、お腹に卵をたっぷりたくわえた子持ちのナメタガレイ(標準和名:ババガレイ)を“子孫繁栄”や“商売繁盛”の縁起物として大晦日や正月にいただく風習がある。地味にみえる煮付けも、ババガレイでつくると一躍ごちそうになるのだ。やわらかで上品な味わいの身は、まさにハレの日のごちそうにふさわしい。
ババガレイは北海道太平洋岸、三陸、常磐にかけて分布が多いカレイの仲間であり、この地方では大変重要な水産資源。三陸地方ではナメタ(滑多)と呼ばれ、粘液が多く、英名でもSlime flounder(ぬるぬるするカレイ)と呼ばれる。体型は細長い楕円形で口が小さく、大型のものは体高が高く肉厚になる。産卵期になると北海道太平洋岸に分布するババガレイが三陸・常磐に南下回遊するという。成長は遅く、煮付けに適した1㌔以上・全長40㌢になるには7~8年を要すると推定され、大型のメスはたいへん貴重なもの。
①アマテ(甘手)ガレイは、マコガレイの関西での通称。②クチボソ(口細)は、マガレイの山形県庄内地方などの通称。ホシガレイやヒラメに並ぶ高級魚③標準和名のマツカワは、体表が松の幹の表面に似ているから。北海道や宮城県の通称、タカノハ(鷹の羽)はひれの縞模様がタカの羽根のように見えるからといわれる。
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