Vol.78  獲れたて魚を対面直売、うみてらす豊前

漁師による対面販売では獲れたての魚が売場から跳ね出ることも

漁師による対面販売では獲れたての魚が売場から跳ね出ることも

 漁師が海から獲ってきたばかりの魚をそのまま対面販売。獲れたてが買えるとあってわざわざ遠方から買いに来る人がいるほど人気の漁協直売所「四季旬海」と、旬の魚が料理で楽しめる漁師食堂うのしま「豊築丸」が併設されている「うみてらす豊前」が昨年6月、福岡県豊前市にできた。魚好きはさらに魚好きに、そうでない人も思わず魚料理を作ったり、食べてみたくなる、そんな施設の魅力を探ってみた。

もっと海を身近なものに

うみてらす豊前の外観

うみてらす豊前の外観

 「うみてらす豊前」の成り立ちは、漁獲量の減少や、魚価の低迷など漁業を取り巻く環境が年々厳しさを増していることから、豊前市が地域漁協と漁港の活性化を目的に漁協敷地内に施設を造った。豊前市の後藤元秀市長は「水産は6次産業化が遅れている。この施設で魚を買う、食べるだけでなく、学ぶなど、もっと海に関するすべてを理解できる施設にしたい」と話す。

 施設に入ってまず目に飛び込んでくるのが、1階の直売所「四季旬海」に活魚水槽がいくつも並べられ、さまざまな種類の魚が水揚げした船ごと、魚の種類ごとに売られている点。

 買い求めにきた客はその中から品定めをして、魚を購入し、その場で活〆を依頼。内臓処理や三枚おろしなど一次加工をしてほしい場合は隣の加工場に持って行くというシステムだ。

漁師が直接販売

活魚が入ったかごをお客が品定め

 さらに驚くのは漁師が獲ってきたばかりの魚を朝、昼、夕と対面販売する。豊前海はイカやタコ、エビ、サワラ、カレイ、カキ、ハモなど一年を通してさまざまな種類の魚が獲れ、豊潤の海だ。この時期、キスを中心に小イカなどの水揚げを行っている底びき網漁(ゴチ網漁)の孝輝丸の門崎孝則・則子さんご夫妻は「漁から戻ってすぐに直売所に持ってくるので、魚がピチピチ跳ねて本当の獲れたてだとお客さまに喜んでいただいている。地域によっては食べ方が違うので、逆に教えていただくことも。もっと地元の人に毎日のおかずとして買ってもらえるようになりたい」と話す。

 「四季旬海」では活魚だけでなく、刺身などの冷蔵品や冷凍品、加工品も販売している。川畑由樹店長のいち押しはハモの加工品だ。「ハモはお隣大分県でも有名だが、うちのハモも絶品。浜焼きからヒントを得た『はもタンポ』は、ひそかな人気商品」とアピール。

川畑店長いち押しの「はもタンポ」

川畑店長いち押しの「はもタンポ」

 市場ではなかなか値段が付かない魚もアイデア次第では売れる魚に変身する。さらに事業を広げ進化しようとしている「うみてらす豊前」の今後も楽しみだ。

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