Vol.66  夏のスタミナ・疲労対策に土用のシジミ

暑い夏こそシジミの味噌汁・すまし汁を!

暑い夏こそシジミの味噌汁・すまし汁を!

 8月を前に暑い日々が続く。暑さから体がだるくなったり、疲労が蓄積したりといった夏バテになる前に、シジミを食べて、夏のスタミナ・疲労対策を図りたい。先月の鯨肉に続く夏のスタミナ源の第2弾は、「土用のシジミ」を取り上げる。

ミネラル豊富な強肝食品

栄養豊富なシジミ

栄養豊富なシジミ

 うま味成分が豊富でおいしく、滋養豊富なシジミ。土用丑の日の食べ物というと、ウナギ蒲焼が挙げられることが多いが、それ以前、古くから日本人に親しまれてきているという「土用シジミ」について、島根県・宍道湖近くに所在する日本シジミ研究所所長の中村幹雄博士に話を聞いた。

 丑の日にシジミを食べる理由は、「シジミは産卵前の5月ごろから7月末ごろにかけて、特に土用の丑の時期に一年でいちばん身が大きくなり、おいしい時期になるため」だという。

 また、夏場は汗をよくかくため、「発汗などで失われることが多い各種ミネラルも、シジミには豊富に含まれている」と教えてくれた。栄養面の補給にも大きな役割を果たしているようだ。

シジミ研究の第一人者・中村所長に聞いた

シジミ研究の第一人者・中村所長に聞いた

 さらに、夏場は体温調節などで肝機能が落ちることがあるが、「シジミには肝臓の働きを強化・改善する作用があるメチオニン、タウリン、オルニチン、ビタミンB12などが豊富に含まれている。必須アミノ酸もバランスよく含まれ、肝細胞の修復にも有効に作用する」と述べた。

 日本人は現代医学・栄養学的な裏付けが得られる以前から経験則で、ミネラル豊富な強肝食品として「土用シジミ」の有効性を把握し、旬の食文化として継承してきたといえる。洋風の食生活に染まることなく、改めて伝統的な日本の日常の食生活が高く評価される点だ。

 中村所長は「サプリメントなどもあるが、シジミを食べることで、各種のミネラルやビタミンなどを簡単においしく摂取することができる」と、土用シジミがありがたい自然の恵みであると強調した。

伝統的な食文化継承を担ってきたシジミ漁風景

伝統的な食文化継承を担ってきたシジミ漁風景

 シジミの選び方については「産地表記をみて選んでほしい。鮮度・安全性やおいしさという点でも、ぜひ、国産を選択してほしいと思う。国内の健全な生態環境で育まれた、鮮度のよいシジミを選び、地産地消にも努めてほしい」と話した。生態系保全などの観点からも国産を選び、食べていきたい。

 また、調理のポイントについて「砂出しは、1リットルの水に塩約10グラム程度の塩水で行うことでうま味が増す。味噌汁などは煮過ぎないこと」と説明。そのうえで、「けちらずにたっぷりのシジミを購入して食べてほしい。たくさんのシジミを使えば、身をたっぷりと食べることができ、ほかのダシなども不要で、シジミ本来のうま味を十分に味わえる」と語り、土用シジミをアピールした。

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