Vol.75  お魚ふりかけを、成長産業に

全国ふりかけグランプリ2015の表彰式で(国際ふりかけ協議会提供)

全国ふりかけグランプリ2015の表彰式で(国際ふりかけ協議会提供)

 魚から栄養を取るにもさまざまな形がある。主菜でなくても、ふりかけからだって可能だ。日本の食生活にまだカルシウムが不足していた約90年前の熊本で、魚の骨を砕いて粉にした元祖ふりかけ「ご飯の供」(㈱フタバ)が誕生。今や市場規模400億円の産業に成長した。一般社団法人国際ふりかけ協議会の松江慎太郎代表理事が、ふりかけの今と未来を語る。

グランプリで競う頂点

協議会の松江代表理事

協議会の松江代表理事

 ふりかけは、ほかの食品の製造工程で出た端材などの副産物を原料にでき、乾燥させ賞味期限も長く延ばせるため、利益率が高いアイテムだ。永谷園や丸美屋などの大手企業が頻繁に広告宣伝を打つことができるのもそれを物語っている。ふりかけの元祖も魚の骨の粉末だし、ノリメーカーや節メーカーが数多く参入しているように水産の具材とは縁が深い。

 国内での白米消費は落ちている一方で、ふりかけの市場規模は縮小していないどころか、むしろ伸びている。化学調味料なども利用した従来の安価なふりかけとは違い、さまざまな業者がフリーズドライなどの乾燥技術の発達でこだわりふりかけ市場に参入し、ふりかけの単価全体が上がったことが背景にある。

 私が36歳の時に、地元の熊本で企画・運営会社のフラッグス㈱を立ち上げて以降、熊本の活性化につながるさまざまなビジネスの創出を手掛けてきた。そんな中で、平成25年8月に前身が発足した国際ふりかけ協議会は、まずは内需のさらなる活性化を、と「ふりかけグランプリ」を企画して主催してきた。

2015ドライふりかけ部門金賞の「納豆ふりかけ」

2015ドライふりかけ部門金賞の「納豆ふりかけ」

 27年秋に熊本市で開かれた「全国ふりかけグランプリ2015」にはこだわりふりかけが一堂に集まった。参加者投票の結果、最高賞の金賞に、ドライふりかけ部門では「納豆ふりかけ」(熊本・当時は通宝海苔㈱、現在は㈱通宝)、ソフトふりかけ部門では「いか昆布」(兵庫・澤田食品㈱)が輝いた。「納豆ふりかけ」などは受賞をうたったところ、5-10倍程度売り上げが伸びたという話もある。ふりかけが売れる商品であると気付いている人はあまり多くない。

2015ソフトふりかけ部門金賞の「いか昆布」

2015ソフトふりかけ部門金賞の「いか昆布」

 前年は熊本地震によって開催断念を余儀なくされたが、今年4月に「全国ふりかけグランプリ2017」を熊本で2年ぶりに開催する(15、16日に終了)。今後は姉妹イベントの「お茶づけグランプリ」と交互に隔年開催していく予定だ。

海外普及と市場開拓

 当協議会の最大の活動の一つに、日本と同じコメを主食とする東南アジア諸国へのふりかけの支援活動がある。
 さまざまな団体・企業の皆さまにご協力いただき、かつての日本のように栄養不足に陥りがちな幼稚園や小学校にふりかけの寄贈を行っている。もちろん、子供たちのバランスの取れた食生活への寄与が狙いだが、味を覚えてくれたら将来的なマーケットとして成長の余地が大きいだろう。

 うまく東南アジアの人々の食生活に普及が進めば、ふりかけ市場は日本の400億円の市場規模以上に成長し、国内外合わせて1000億円規模になるのも夢ではないと思っている。

 ふりかけはもともとの原価が低く、日本の国内価格は包装費用や物流費などが占める割合が高い。業務用で送れば、現行の日本の生産原価で十分、現地の価格と合うと思う。

 市場開拓という面からいえば、東南アジアにターゲットを絞る必要はない。寿司文化とともに米食は世界中に広がっていて、従来のパン文化の国々でもチャンスはある。

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