<魚食にっぽん>本気のアイゴはケタ違い、愛媛・古屋野水産 vol.184


「臭み抜き」で特許申請中
ストレスを感じるとアイゴは、体表から臭いを出す。水揚げ直後は海水にもアイゴ臭が移るほどだ。同社はアワビの種苗生産を事業の柱としている。場内の陸上水槽を活用し、活け越し(餌止めをして生かす)を行う。

手間をかける価値あり

臭みは全くない。そのうえで食感は背側がしっとりと、脂の多い腹側はサクサクとして異なる。どちらも食べ進めるにつれ甘みを感じた。
2日寝かせると、脂が身に回り白みを帯びた。もっちりとした食感に変わる。天然魚でこれほど脂を感じる魚が思い浮かばない。ただし「ベトベトする」「くどい」とはならない。イシダイにも似るが、うま味はこちらの方が強いのではないか。
ポテンシャルの高さが途方もない。「手をかける価値がある魚。『ここまでおいしい』ことに、気が付いてほしい」と、古屋野社長は胸を張る。
古屋野社長がアイゴに携わり7~8年になる。群れて泳ぐアイゴは、定置網に1トンも入る時がある。だが買い手がつかない。網に入ると困る魚で、漁業者から「売り物にならないか」と、相談されたのが始まりだった。
一連の仕組みを完成させるまでに3年を要した。細かな改良も加えながら、現在は臭みのないアイゴの通年出荷を実現させた。「潤沢でおいしい、この資源を使わない手はない」と断言する。
こうした古屋野社長の取り組みを、愛媛・松山市の「壽司きんぼし」が支持しており、同店では多様なアイゴ料理を提案してきた。さらに6月には、松山市内に専門店「愛ご屋」を出店する。まずは丼メニューをランチ限定で開始する予定だ。
海水温の上昇で、アイゴは年々分布域を広めている。だが、高級魚に化ける実力がある魚だと、物言えぬアイゴに代わって古屋野社長が証明してくれた。決して厄介な魚ではない。愛媛で新しい魚食文化に育っている。
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