2026年4月13日(月)

《無料公開中》<魚ビジネスとの気になるカンケイ>(1)はじめに編 “魚よがり”から脱却を

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 ビジネス初心者の教養本「業界ビジネスシリーズ」の1作目「魚ビジネス」は、魚の業界で仕事をするうえでの基礎が学べ、魚好きな一般人の興味を満たせる一冊だ。2023年4月の発売以来版を重ね、3万5000部が世に出ている。「当時なかった魚ビジネス全体を俯瞰(ふかん)できる実用書に」と執筆の意図を振り返った著者のながさき一生氏は、「魚ビジネスをより深く知るには魚に関係する他業界も知る必要がある」と話す。連載「魚ビジネスとの気になるカンケイ」では、ながさき氏と「業界ビジネスシリーズ」著者との対談を通じ、ほかの業界の教養を学びたい。「はじめに編」はながさき氏に聞いた。(随時掲載)

 ――魚以外の業界も知っておく必要があると考える背景は何ですか。

 ながさき氏 例えば、海鮮丼一つ提供するにも、コメや醤油、ワサビはどうするかという問題に当たる。魚だけしか知らないのでは“魚よがり”な視点になりがちで、全体としてまとまりがなくなることもある。顧客満足度を高め、全体としての質を高めるうえでは、魚以外の業界の知識も欠かせない。

 ――その道の専門家任せでは駄目なのですか。

 ながさき氏 何も自分で深く突き詰める必要はない。例えばワサビにもさまざまな種類があると知っておくだけで、専門家の人から教えを請う時の話のきっかけになる。

 ――例えばどのようなことが考えられますか。

 ながさき氏 コメには11年に誕生した寿司専用品種「笑みの絆」があることなどはご存じだろうか。寿司種に使うのが赤身の魚がメインか白身の魚がメインかによっても理想のおコメは変わってくる。例えば、赤身をメインに考えるなら寿司米の味は濃い方がよりネタとマッチする。このような知識があるだけでも違う。コメの仕入れだけでも先方と深い会話ができる。

部位売りは肉が先行

 ながさき氏 肉の場合は、組み合わせるというより、肉業界の一般的な売り方を魚に応用するという視点になると思う。

 築地場外市場ではやっている、焼き肉店を模した焼き魚店「築地 焼きうお 石川」は、その出店にあたって、おそらく肉のことをかなり参考にされていると思う。部位ごとの特徴をとらえて売り出し方を変えるという手法は、肉の業界の方がたけている。この点、魚ではマグロの販売などでさらに応用が利くだろう。また、養殖魚にもいずれ等級を導入する流れがくるとすれば、見た目を基準にして「A5ランク」一色となってしまった肉の業界の事例などは学びになるであろう。

 ――野菜や酒についてはどうでしょうか。

 ながさき氏 ツマやワサビなどの付け合わせの野菜は言うに及ばず、例えばダイコン一つとっても味噌汁かブリ大根かではそれぞれ合う品種も違ってくると考えられる。野菜の豊作や不作は、よく合わせられる魚の売り上げをも左右しかねず、日々のニュースを気にかけておくだけでも違う。

 酒に関しては、白身には淡麗辛口の酒が合うといった、ワインのペアリングにも似た売り出し方が近年増えてきた。酒の知識があれば、売り先の飲食店で揃える酒のラインアップをみて、提案する魚を変えていくということもできるだろう。さらに、水産加工にも使われる酒かすや麹(こうじ)については、知っておいて損はないことはいわずもがなだ。

魅力的に映る魚業界

 ――さわりだけで興味深いです。魚の業界の閉塞(そく)感を打破できそうです。

 ながさき氏 業界内の人々からすると信じられないが、私が著した「魚ビジネス」の反応で驚いたのは、魚の業界は意外と“イケイケ”状態にあると思われていること。

 確かに考えてみれば世界の水産物消費は伸び、日本のインバウンドといえば魚が注目され、活気があるととらえている人がいるのも分かる。その雰囲気は大事で、さまざまな人からの協力も得やすくなる。

 逆もしかり。例えば、酒の業界では、日本酒の国内消費は全体として減っており、魚業界と似たような現状を抱えている。さらに、海外で支持を得ている状況も同じだ。魚に引っ張られて酒も売れるようになるだろうし、酒に引っ張られて魚が売れることもあるかもしれない。このように業界の枠を超えてまねできる部分や協力できる部分はもっとあるはず。本連載をきっかけに他分野についても学び、協力していく流れが活発になればうれしい限りだ。

 ――次回からの個別の対談が楽しみになってきました。何とぞよろしくお願いします。



「魚ビジネス」

 クロスメディア・パブリッシング社の「業界ビジネスシリーズ」の第1作。食として魚の魅力を分かりやすく解説し、世界に誇るべき日本の食文化を紹介している。魚にまつわるビジネスから、寿司の歴史、市場でおいしく魚を食べる方法、培養魚肉の最新技術など、あすから使える魚に関する豆知識を紹介する「魚の入門書」。税込み1738円。272ページ。

 ながさき一生(ながさき・いっき)氏=1984年新潟・糸魚川市の漁村「筒石」の漁師の家に生まれて幼少期は家業を手伝う。2007年に東京海洋大学を卒業後、築地市場の水産卸に勤務。そのあとに東京海洋大大学院で魚のブランドや知的財産の研究を行い10年に修士課程を修了した。17年に「さかなプロダクション」を創業して独立。魚の業界を取り巻く状況をよくしようとさまざまな活動を展開している。ふるさと納税のコンテンツ監修や日本テレビ系列ドラマ「ファーストペンギン!」では漁業監修などを手掛けた。メディア出演多数。
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