<魚食にっぽん>磨く手間に正当評価を 「ムール貝」で豊洲仲卸に聞いた vol.180

(写真はイメージ)
1934年に神戸港で初確認された外来種のムール貝は現在、生息域を全国に広げて日本列島の各地でみられるようになった。ただ、水産関係者の一般認識からすると、貝殻や設備にへばり付き数を増やす邪魔者というのが一般的だ。カキ養殖が盛んな広島県や宮城県の生産者が何とか換金できないかと“副産物”のムール貝を併せて積み込み消費地市場に送っても、よい値が付きにくい。後述する手間もかかり、やがて送らなくなってしまうことも珍しくない。
事前注文以外はあまりムール貝を扱わないという仲卸は、「刺身や寿司などで生食ができないのが大きい。食べる文化が育っていない」と話す。確かに「お勧めの食べ方」で調べて出てくるのは洋風ばかり。「上級な料亭や小料理屋で、お通しなどでムール貝が出てきたら驚かせてしまう」と、日本でいま一つ人気が高まりきらない理由を話す。
食の洋風化追い風

一方、価格面の向上も必須だ。殻付きで料理されることが多いので貝殻はきれいであればあるほどよいが、多くの付着物を剥がす必要があり、身の一部である足糸(そくし)を取るのもひと苦労。とにかく出荷に手間がかかる。にもかかわらず、現状は「貝殻がきれいでもきれいでなくても値段は同じに扱われてしまうことが多い」と、今も毎日のようにムール貝を扱う別の仲卸は嘆く。自身の店では今、手元で磨く処理をしたムール貝は手間賃を乗せて販売し、評価アップに取り組んでいる。磨いた貝は飲食店の厨(ちゅう)房ですぐ使えて便利なのだという。「われわれや産地がかけた磨きの手間が値段に自然と反映されるようになれば、出荷する人が増えてくるのでは」と話す。

ブルーリンク
ハイブリッド種で太った身 カナダ産の活ムール貝

輸入専門商社の(株)ブルーリンクが3月中旬~5月初・中旬の産卵期除く10か月間取り扱っている。ムラサキイ貝とヨーロッパイ貝を交配したハイブリッド種は、太った身で貝本来のおいしさを存分に堪能できる差別化商品として洋食系外食店にファンを抱える。
従来はネット形態のみで扱いが難しかったが、ガス置換包装(MAP包装)が登場。水の心配なく売場に並べられるようになった。近い将来ワングレード上のムール貝として注目を浴びそうだ。
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