AIで海況・漁場を予測、京大と海洋研究開発が新会社

2019年5月16日

水産海洋ベンチャー?オーシャンアイズを設立した5人。中央が田中社長

 京都大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)に所属する研究者5人は15日、人工知能(AI)などの最新技術で持続的な水産・海洋産業をサポートするベンチャー企業を立ち上げたと発表した。新会社では、水深ごとの詳細な海況予測や漁業者の漁場決定を支援するサービスを提供することで、経験や勘ではなく、データに基づく水産業の構築を支援する。 

 新会社は「?オーシャンアイズ」(Ocean Eyes Co.,Ltd.、田中裕介社長)。京都大学とJAMSTECで海況予測や漁場推定技術の開発などに携わってきた5人の研究者が参加し、4月に設立した。

 同社が提供を目指すサービスは、海況予測システム「SEAoME(しおめ)」と漁場予測システム「漁場ナビ(仮称)」(以下、ナビ)。しおめは、日本周辺海域の水深ごとの海水温や、塩分濃度、流速、海面高度を1・7キロメートルメッシュの精度で14日先まで予測し提供する。必要な海域や水深のデータのみをカスタマイズし提供することも可能。すでに東北沿岸や九州南西でサービスを開始しており、2020年3月までに日本周辺全域をカバー、急潮などの予測の提供も始める。

 新潟・佐渡の例では実測値との誤差が最大1度C以内にとどまる高い精度も実現。費用は一セット数百万円になる見通しだが、開発者の田中社長は「カスタマイズで価格も変わる。漁業者の団体などで一括して購入し提供することも可能」という。[....]