付き合い方や情報収集の工夫聞く 春の「新聞週間」インタビュー
2026年4月7日
日本新聞協会と全国の会員新聞・通信・放送社は、4月6日に始まる「春の新聞週間」に合わせ、朝井リョウさん(作家)、大友花恋さん(俳優)にインタビューした。新聞との付き合い方、情報収集の工夫などについて聞いた。

朝井リョウさん 最近、宗教学者の柳澤田実さんと対談する機会があり、資本主義がすべてを覆うような今だからこそ、宗教が大事になっているというお話に興味を覚えた。宗教においては、祈りをささげるという無料の行為が救済や癒やしにつながり得る。でも、3万円払ったらその祈りが届きますよとなったら、それは本来別次元であるはずの資本主義に絡め取られたことになってしまう。
最新作「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)ではファンダム(熱狂的なファンのコミュニティー)を取り上げた。私自身、ファンダム自体は大切だと考えているが、経済的要素の接続でゆがむ部分が多いと感じる。情報に関しても、インプレッション(表示回数)を増やし、それに伴ってどれだけお金を集められるかを重視して発信されているものも多い。そう考えると数こそ膨大かもしれないが、実は似た形の情報が流れていることになる。
新聞社も企業なので収益はもちろん大事だが、新聞はインプレッションを競う多くのメディアとは別の判断基準で情報発信している印象がある。その基準は何かといえば、専門家がその専門のことを話すということではないか。(専門知が軽視されるようになるなど)世の中はいろいろ変わるかもしれないが、新聞はその役割を変わらず果たしていってほしい。どんなに時代が動いても、いかりを下ろしているような信頼感が新聞記事には求められる。しっかり下ろしていますというアピールはもっとやるべきではないか。
新聞は網羅的なのが特徴だと思うので、読む時には自分の好みは出さないようにしている。できるかどうかは別にして、自分好みの情報を表示するアルゴリズム(計算手法)からは遠ざかりたい。同じ町を歩いたとしても、身長150センチの人と190センチの人では入ってくる情報が異なる。小説を書くという仕事をしていることもあり、自分とは違う人がどんな情報を得ているのかに興味がある。
情報と向き合う時は、自分の考えと異なる意見をあえて見る。週刊誌などに載せるべきではないだろうと思った記事が載った時でも、「表現の自由のためにはああいったものも必要」といった反対の意見を多く読み、そのうえで判断している。
◎略歴 朝井リョウ(あさい・りょう) 1989年生まれ。岐阜県出身。2009年、「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。13年、「何者」(新潮社)で直木賞を、21年、「正欲」(同)で柴田錬三郎賞を受賞。25年、ファンダム経済を舞台に人間の行動力を描いた「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)が発売された。

大友花恋さん 気になったニュースや調べたいことがある時は、新聞のデジタル版を読むことが多い。ページに表示される関連記事から新しい情報にたどり着くこともあり、自分が知りたいことを追求できる。スマートフォンでも読みやすい。新聞を読んだことがない人は、まずデジタル版から触れてみるのもいいだろう。
幅広い視点で情報を集めたいという思いがあり、一つのニュースでも記事はできるだけ読み比べるようにしている。気になることが多く、どんどん調べたくなる性格だ。時事ニュースを扱うテレビ番組に出演する時は、デジタル版を活用しながら、ノートに情報をまとめて整理することもある。
情報収集には交流サイト(SNS)やテレビも活用する。SNSの投稿には発信者の考え方が反映されていると感じるため、投稿の背景を意識しながら、なるべくフラットな目線で受け止めるようにしている。
得た情報の理解を深めるには、人と会話をするのがいちばんだ。相手の意見に耳を傾けながら議論すると、知識を深めることができ、記憶にも残りやすい。
どんな知識も、一つひとつの言葉もすべて大切なものだと思っている。ニュース番組の出演にはもちろん役立つし、お芝居に向き合う時も過去の事件や人物を知ることは想像を広げる材料になる。ニュースという共通の話題があるだけで、仕事や現場で出会う人との会話も弾む。
ニュースを見る時、人は自分に関係がある話題に目を向けがちだと思う。例えば「野菜が高い」「最近暑い」といったニュースについては身近に感じるが、その事象の背景は世界情勢や経済の動きとリンクしている。世界で起きている出来事が自分と無関係であることはほとんどない。ニュースを勉強し始めてから、身近な物事を原因まで深掘りできるようになったと思う。
最近は特に人工知能(AI)をめぐるニュースが気になる。映像や画像を誰でも手軽に作れる時代になり、これからAIがますます発展して自分や社会にどんな影響が及ぶのかを考えるようになった。
社会の変化を知ることは、自分が何を学ぶべきかを考え、準備するきっかけになる。早い段階から広い視野で物事を見ることは、将来の選択肢を広げることにもつながる。
新聞のデジタル版に対して、「ちょっと硬そう」「読むのにお金がかかるんだろうか」と抵抗感を抱く人もいるかもしれない。でも、会員登録するだけで気軽に楽しめる記事が豊富にある。先入観を取り払って、さまざまな記事に触れてほしい。
◎略歴 大友花恋(おおとも・かれん) 1999年生まれ。群馬県出身。2021年まで中高生向け雑誌「Seventeen」(集英社)で専属モデルとして活動。短編小説集「ハナコイノベル。」(同)が25年に発売された。26年2月公開の映画「教場 Requiem」に出演。4月放送開始のドラマ「あざとかわいいワタシが優勝」(TOKYO MX)で主演を務める。
春の新聞週間とは
日本新聞協会は4月6日から1週間を「春の新聞週間」と定めている。進級・進学、就職など新生活が始まる時期に合わせて新聞の魅力を伝えるキャンペーンを実施している。専門に基づく信頼感
作家 朝井リョウさん

最新作「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)ではファンダム(熱狂的なファンのコミュニティー)を取り上げた。私自身、ファンダム自体は大切だと考えているが、経済的要素の接続でゆがむ部分が多いと感じる。情報に関しても、インプレッション(表示回数)を増やし、それに伴ってどれだけお金を集められるかを重視して発信されているものも多い。そう考えると数こそ膨大かもしれないが、実は似た形の情報が流れていることになる。
新聞社も企業なので収益はもちろん大事だが、新聞はインプレッションを競う多くのメディアとは別の判断基準で情報発信している印象がある。その基準は何かといえば、専門家がその専門のことを話すということではないか。(専門知が軽視されるようになるなど)世の中はいろいろ変わるかもしれないが、新聞はその役割を変わらず果たしていってほしい。どんなに時代が動いても、いかりを下ろしているような信頼感が新聞記事には求められる。しっかり下ろしていますというアピールはもっとやるべきではないか。
新聞は網羅的なのが特徴だと思うので、読む時には自分の好みは出さないようにしている。できるかどうかは別にして、自分好みの情報を表示するアルゴリズム(計算手法)からは遠ざかりたい。同じ町を歩いたとしても、身長150センチの人と190センチの人では入ってくる情報が異なる。小説を書くという仕事をしていることもあり、自分とは違う人がどんな情報を得ているのかに興味がある。
情報と向き合う時は、自分の考えと異なる意見をあえて見る。週刊誌などに載せるべきではないだろうと思った記事が載った時でも、「表現の自由のためにはああいったものも必要」といった反対の意見を多く読み、そのうえで判断している。
◎略歴 朝井リョウ(あさい・りょう) 1989年生まれ。岐阜県出身。2009年、「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。13年、「何者」(新潮社)で直木賞を、21年、「正欲」(同)で柴田錬三郎賞を受賞。25年、ファンダム経済を舞台に人間の行動力を描いた「イン・ザ・メガチャーチ」(日本経済新聞出版)が発売された。
視野広げる読み比べ
俳優 大友花恋さん

幅広い視点で情報を集めたいという思いがあり、一つのニュースでも記事はできるだけ読み比べるようにしている。気になることが多く、どんどん調べたくなる性格だ。時事ニュースを扱うテレビ番組に出演する時は、デジタル版を活用しながら、ノートに情報をまとめて整理することもある。
情報収集には交流サイト(SNS)やテレビも活用する。SNSの投稿には発信者の考え方が反映されていると感じるため、投稿の背景を意識しながら、なるべくフラットな目線で受け止めるようにしている。
得た情報の理解を深めるには、人と会話をするのがいちばんだ。相手の意見に耳を傾けながら議論すると、知識を深めることができ、記憶にも残りやすい。
どんな知識も、一つひとつの言葉もすべて大切なものだと思っている。ニュース番組の出演にはもちろん役立つし、お芝居に向き合う時も過去の事件や人物を知ることは想像を広げる材料になる。ニュースという共通の話題があるだけで、仕事や現場で出会う人との会話も弾む。
ニュースを見る時、人は自分に関係がある話題に目を向けがちだと思う。例えば「野菜が高い」「最近暑い」といったニュースについては身近に感じるが、その事象の背景は世界情勢や経済の動きとリンクしている。世界で起きている出来事が自分と無関係であることはほとんどない。ニュースを勉強し始めてから、身近な物事を原因まで深掘りできるようになったと思う。
最近は特に人工知能(AI)をめぐるニュースが気になる。映像や画像を誰でも手軽に作れる時代になり、これからAIがますます発展して自分や社会にどんな影響が及ぶのかを考えるようになった。
社会の変化を知ることは、自分が何を学ぶべきかを考え、準備するきっかけになる。早い段階から広い視野で物事を見ることは、将来の選択肢を広げることにもつながる。
新聞のデジタル版に対して、「ちょっと硬そう」「読むのにお金がかかるんだろうか」と抵抗感を抱く人もいるかもしれない。でも、会員登録するだけで気軽に楽しめる記事が豊富にある。先入観を取り払って、さまざまな記事に触れてほしい。
◎略歴 大友花恋(おおとも・かれん) 1999年生まれ。群馬県出身。2021年まで中高生向け雑誌「Seventeen」(集英社)で専属モデルとして活動。短編小説集「ハナコイノベル。」(同)が25年に発売された。26年2月公開の映画「教場 Requiem」に出演。4月放送開始のドラマ「あざとかわいいワタシが優勝」(TOKYO MX)で主演を務める。
日本新聞協会の組織と活動
全国の新聞・通信・放送各社が倫理水準の向上を目指す自主的な組織。新聞の魅力を伝える活動や、NIE(教育に新聞を)の普及にも取り組んでいる。横浜市でニュースパーク(日本新聞博物館)を運営している。年1回、優れた報道に新聞協会賞を贈っている。関連キーワード
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