[1132]北太平洋漁業委員会(NPFC)第7回年次会合の結果について

2023年5月17日

◆サンマ資源管理措置で合意 IUU漁船リスト4隻増加

 3月22日から24日まで、北太平洋漁業委員会(NPFC)第7回年次会合が札幌市において開催されました(ウェブ会議を併催)。NPFCは、北太平洋公海における漁業資源の長期的な保存および持続可能な利用の確保などを目的とする地域漁業管理機関で、サンマ、サバ類、クサカリツボダイなどを管理の対象としています(マグロ類、サケ・マスなどほかの条約の対象資源は対象外)。

 今回の会合には、NPFCに加盟している全ての国・地域(日本、カナダ、ロシア、中国、韓国、台湾、米国、バヌアツおよびEU)が参加しました。

(1)サンマの資源管理措置

 我が国は2017年からNPFC条約水域(公海域)でのサンマの漁獲数量規制の導入の提案を行ってきました。18年までのNPFC年次会合では、科学的知見の不足等を理由とした反対意見があり、漁獲数量規制の導入は見送られていましたが、19年4月のNPFCにおける科学委員会で初めて加盟国・地域で一致したサンマの資源評価結果を得たこともあり、同年の第5回年次会合において、20年のNPFC条約水域(公海)での漁獲割当量(TAC)を33万トンに制限(分布域全体の漁獲量が55万6250トンを超えないこと)などの資源管理措置に合意しました。

 その後、21年に開催された第6回年次会合において、サンマの不漁を受け、我が国はさらなるTACの削減などを提案し、21年および22年のNPFC条約水域(公海)でのTACを19万8000トンに制限(分布域全体の漁獲量が33万3750トンを超えないこと)、各国の公海での漁獲量を各国の18年の漁獲実績から40%削減などの資源管理措置に合意しました。

 今回の第7回年次会合では、近年のサンマ資源が歴史的に低水準であることやサンマの不漁を踏まえ、我が国はTACの削減や漁獲努力量管理の導入などを提案し、新たに以下を主な内容とする措置に合意しました。

・23年および24年のNPFC条約水域(公海)でのTACを、従来の19万8000トンから25%削減し、15万トンに制限(分布域全体の漁獲量が25万トンを超えないこととしたため、日ロ200カイリ水域では、10万トンまでの漁獲が可能)。

・各国は公海での漁獲量を各国の18年の漁獲実績から55%削減。

・サンマの小型魚保護のため、6~7月における東経170度以東での操業を禁止(従来は「任意の自粛措置」)。

・漁獲努力量の削減措置として、各国・地域は、

(1)連続した180日以内の操業期間を設定し、それ以外の期間は禁漁、または、

(2)実操業隻数を18年から10%削減。

・資源の動向を反映したより科学的な漁獲枠に決定できるよう漁獲管理規則を策定し、次回の第8回年次会合における適用を目指す。

(2)漁獲物の転載の管理措置

 これまで暫定的な措置となっていたNPFCにおける漁獲物の転載の管理措置について、新たに転載の事前報告および事後報告、運搬船へのオブザーバー乗船による第三者確認などを義務付け、モニタリングを強化する措置が採択されました。

(3)漁獲記録の義務の明確化

 条約水域で操業する漁船が漁獲量などを船上で記録(操業日誌への記録)すること、また、関連する国内法・規則に従って旗国当局に提出することが義務化されました。

(4)底魚類の資源管理措置

 深海サンゴなどの脆弱な生態系(VME)を保護するため、以下を主な内容とする措置に合意しました。

・底びき漁船のVME遭遇が発生した場合の暫定閉鎖水域を1カイリに設定(従来は2カイリ)。

・暫定閉鎖水域におけるトロール漁業の着底操業を禁止。

・VMEの遭遇閾値は冷水性サンゴ類または海綿類がそれぞれ50キロまたは500キロ混獲された場合とする。

(5)サメに関する保存管理措置

 混獲されるサメの保存管理のため、以下を主な内容とする措置に合意しました。

・サメのヒレ切り(ヒレを魚体から取って、魚体を投棄すること)を禁止。

・ヒレを魚体から切り離して保管する場合は、

 (1)魚体とヒレを同じ袋に入れる、

 (2)ロープまたはワイヤーでヒレと魚体を結びつける、または、

 (3)タグ付けによりヒレと魚体の対応関係が分かるようにすることを義務化。

・漁船は条約水域におけるサメの混獲があった場合に可能な限り種ごとに記録し、報告(24年1月からの措置)。

(6)IUU(違法・無報告・無規制)漁船対策

 IUU漁船リスト(昨年までに36隻の漁船が掲載)に、我が国から掲載を提案した3隻(運搬船2隻および補給船1隻)を含む4隻が追加されました(合計40隻)。

(水産庁国際課)