[1135]北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)第30回年次会議の結果について

2023年8月25日

商業漁獲量は71万㌧に減少
1993年以降2番目に低く

 北太平洋のサケ・マス資源の保存を目的として、北緯33度以北の公海でのサケ・マス漁業の禁止を主な内容とした「北太平洋における溯河性魚類の系群の保存のための条約」が1993年に発効し、我が国のほか、アメリカ、カナダ、ロシア、韓国がこの条約に加盟しています。

 例年、この条約に基づく「北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)」の年次会議が開催されており、本年の第30回年次会議は、5月15~19日まで、韓国の釜山広域市で開催されました。

 年次会議では、条約水域における取締活動やサケ・マス資源に関する科学調査協力について議論しています。取締分野の会議では、2022年における加盟各国のサケ・マス資源の違法操業の取締実績について報告が行われました。加盟国による取締活動は、取締船でのべ143日、航空機でのべ436時間以上実施されました。

 科学調査分野の会議では、北太平洋におけるサケ・マス資源に関する調査活動について各国から報告が行われ、22年の北太平洋のサケ・マス商業漁獲量は1993年以降で2番目に低い漁獲量(71万トン、3.5億尾)となり、前年の100万トンから29万トン減少したことが示されました。

 このうち、サケの漁獲量は21.3万トンであり、全漁獲量の30%を占めています。アジア側におけるサケの漁獲量は2015年以降減少していましたが、22年は15.8万トンを漁獲し過去2年を上回ったことなどが報告されました。23年には、ベーリング海西部および北部、北太平洋北西部、オホーツク海南部で航海調査が予定され、回遊時期、豊度、分布、生残率、海洋生態系、遡上サイズの予測、系群識別、海洋におけるサケ・マスの成長と魚体の状態などを調査します。また、現事務局長の任期が本年8月で終了するところ、今年次会議において次期事務局長として我が国から近藤喜清氏(選出時所属:国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校校務部長)が選出されました。任期は本年9月1日から4年間を予定しています。

 次回の第31回年次会議の日程および場所については未定です。

(水産庁国際課)