リモネン含有で爽やか、フルーツ黒酢カンパチ 

2023年9月4日

商品を手にする岩切専務㊨と津曲社長

 カボスやユズ、レモンなどを飼料に混ぜて消臭効果を狙ったブリは各地で養殖されているが、カンパチでこうした取り組みはまだまだ少数派だ。都道府県別で最多の鹿児島県内でも有数の産地、垂水市で長くカンパチ養殖を営む(有)隆寶水産は、フルーツ黒酢を餌に混ぜた「フルーツ黒酢カンパチ」の生産をスタート。(株)太新を通じて量販店など小売での販売に力を入れている。

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 桜島の麓に位置する垂水市は海水温が高く、内湾に当たるため一年中水温が安定している。良質な湧き水が流れ込むエリアで、水深が深いこともカンパチ養殖に適した環境だ。同社では毎年10万~11万尾ほどの稚魚を投入している。

 餌に混ぜ込むのは、鹿児島県の名産品として知られる黒酢「桷志田」を生産する福山黒酢(株)(津曲晋作社長)の生フルーツ黒酢の残渣(さ)を利用している。

 「桷志田」の黒酢は黒酢杜氏(とうじ)により、かめつぼで作られるのが特徴。短くて3年、最長で10年ほどかけて作られるため、長期熟成により味と香りの円熟味が感じられる。アミノ酸の含有量も多い。

 この黒酢で国産の果物を漬け込んだのが「生フルーツ黒酢」だ。ミカンやユズ、タンカンといった柑橘(かんきつ)類のほかリンゴやブルーベリーもラインアップとして揃えている。果物は無農薬原料にこだわり、防腐剤なども使っていないため、漬け込みは皮ごと。香りも存分に楽しめる。「フルーツ黒酢を漬ける氷砂糖にもこだわっている」(津曲社長)といい、店ではスムージーも販売している。

 隆寶水産では漬け込んだあとのフルーツを凍結して受け取り、カンパチの仕上げの約2週間、餌料に混ぜて与えている。[....]