【全文掲載】IQやり直し求め提訴、太平洋マグロ割当に不服 金虎丸など4漁業者

2024年4月30日

 水産庁による2024、25両年の太平洋クロマグロの個別漁獲割当(IQ)の決定方法を不服として、(一社)全日本マグロはえ縄振興協会(全日協)に所属する漁業者がIQ決定処分の取り消しとやり直しを求める訴訟を東京地裁で起こした。

 国を訴えたのは、(株)金虎丸漁業(静岡・下田市、安岡稔代表取締役)など宮城県、東京都、静岡県、高知県の4漁業者。

 訴状によると、総量管理のもとで漁獲した21年の漁獲実績がIQ算定の際に勘案される過去の実績から除外されたのは、近海はえ縄漁船による自主的IQへの参加を求めた水産庁の要請を全日協所属漁船が断ったことへの制裁であり、行政指導に従わないことへの不利益な取り扱いを禁止している行政手続法32条2項に違反するなどと指摘している。

 自主的IQ自体もはえ縄漁業全体での合意がなければ成り立たないものなのに、水産庁は水産政策審議会に対してあたかもその合意が成立したかのごとく虚偽の説明をしたと批判している。

 24年は4隻の所属船にそれぞれ2・2~12・8トンの漁獲量が割り当てられているが、21年実績を含む20~22年の3年実績の平均を勘案し、14・4~30・6トンへと増やすことを求めている。増量分は実績がないのに割当を受けているはえ縄漁船や最も大きな配分を受けている大中型まき網漁業の枠などから放出させることを想定している。

 算定のやり直しが受け入れられない場合の予備的な請求として、IQ制度をいったん中止したうえで、もう一度、漁業者の意見を聞いてIQ算定基準自体をつくり直すよう求めてもいる。

 大臣許可の近海はえ縄漁船のIQ制度をめぐっては今年3月、宮崎県の船主らも農林水産省に算定のやり直しを求めて審査請求を起こしている。こちらは18~20年という3年間の漁獲実績が将来の枠を事実上決めてしまうのは不公平だとして、均等割り(現在は3割)を引き上げるよう求めている。[....]