【全文掲載】静岡市中央市場/青森産マグロ、取引量大幅訂正

2022年6月17日

静岡市中央卸売市場の青森県産クロマグロ取引データの訂正状況

 静岡市中央卸売市場はこのほど市場取引データを訂正し、2019年から21年8月までの間に、青森県産クロマグロの取引量は約130トンあったことを明らかにした。従来データでは同期間の取扱量は9・9トン。差し引き120トン分が青森県産クロマグロとして扱った水産卸売会社から報告されていなかった。

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 訂正分はほぼ全量が大間町の出荷業者からのクロマグロとみられる。水産庁と青森県は静岡市場に昨年8月と9月に計60トン程度、大間産マグロの出荷があったことを契機に、漁業者に義務付けられている漁獲報告が行われているかどうか調査中だ。静岡向け出荷のうち40トン前後が未報告になっているとする情報もある。

 しかし今回、19年からマグロ取扱量のデータの虚偽が判明したことで、漁獲未報告疑いのマグロの数量は増える可能性もありそうだ。

 昨年9月分(28トン)以降は正しく報告されているものの、青森県に漁獲実績として報告されていないものが大半だとみられている。19年にまで遡(さかのぼ)って静岡市場で取引された大間産のマグロが漁獲枠内かどうか調査が必要になりそうだ。

 静岡市は流通多様化の実情を踏まえて市卸売市場業務条例を改正し、20年6月からセリにかけず相対で取引できるようにした。それまでマグロはセリまたは入札で扱うべき商品に指定されていた。

 訂正後のデータによると、19年の青森県産マグロの出荷は9トン余り。「ブリ」として報告していたようだ。翌20年からは相対取引も解禁されたにもかかわらず、卸売会社は「その他鮮魚」という虚偽の報告を続け、相対取引で76トン弱の大間産マグロを販売した。

 静岡市中央卸売市場は個々の指導内容についてはコメントできないとしつつ、「市場内業者が行う取引において非違行為があった場合には、市卸売市場業務条例などに基づき行政指導を行い、再発防止を講じる」と説明している。[....]