<新クジラ探訪記/釧路・網走編>歴史紡ぐ道東の二大基地

2023年2月13日

網走でのミンククジラの水揚げ(網走くじら協議会提供)

 北海道の東部、太平洋側の釧路市とオホーツク海に面す網走市は、いずれも古くから捕鯨が行われ、鯨食文化が育ってきたクジラと縁(ゆかり)の深い町だ。現在も沿岸小型捕鯨の基地として機能を発揮し、市と民間事業者で組織する「くじら協議会」により捕鯨や鯨食に関する啓発が行われている。

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 釧路では第二次世界大戦中、食糧難の対策として沿岸でのミンククジラの捕獲が開始。1944年、51年には大手捕鯨会社の事業場が相次いで設立され、捕鯨が本格化した。主にマッコウクジラやイワシクジラが捕獲され、52年から61年の10年間は沿岸捕獲頭数が日本一に。この間、市内飲食店でクジラの刺身が提供されたり、学校給食でも鯨肉のカレーが登場したりするなど、鯨食が広がった。

 その後、大手捕鯨会社の撤退により釧路での捕鯨の隆盛は終焉(えん)を迎えたものの、2002年に釧路沖で調査捕鯨が始まったことで、捕鯨の町として再発進。19年の日本の商業捕鯨再開に際しては、沿岸捕鯨船の出港式および初水揚げが行われ、歴史的な舞台となった。以後、釧路沖では夏から秋にかけて小型捕鯨業者が操業、昨年は7月にミンククジラ2頭が捕獲され、釧路に水揚げされている。[....]