2017年9月14日
水産研究・教育機構の宮原正典理事長は12日、水産庁記者クラブで会見を開き、陸上水槽におけるクロマグロの産卵試験で「今年度は産卵しなかった。非常に困った状況」と報告した。今後は親魚を全数取り上げて原因を究明し、要因とみられる狭い環境でも成熟できる飼育技術の開発を進める。
水産機構は一昨年から西海区水産研究所(長崎県)で人工種苗由来のクロマグロ4歳魚を飼育している。今年度は2基の水槽で、早期(4?5月想定)と通常期(6?7月想定)の採卵試験を行った。
早期の採卵試験では水温と日長を自然条件より2か月早めて親魚21尾を産卵誘導し4月に10万粒の産卵を確認した。しかしその後は産卵が継続せず、メス親魚4尾を調べたところ、想定(40キロ)より小型(36キロ)で卵巣が未成熟だったことが分かった。優良な産卵親魚が壁への衝突などで斃(へい)死した可能性があるという。
今年度の結果により、両条件のコントロールだけでは不十分であることが分かった。来年4?5月には民間の人工種苗由来の1歳魚を収容。産卵可能な3歳魚になる2019年まで、狭い環境下の克服など、親魚グループの大半が成熟できる飼育技術の開発を目指す。[....]