<魚食にっぽん[145]>その水産物もアップサイクル!

2023年2月27日

「アップサイクル」という言葉が身近になりつつある

 最近、よく耳にするようになった「アップサイクル」という言葉。気が付けば水産業界でも徐々にではあるが、その考え方は広がりつつあるようだ。宅配ビジネスを中心に食品のサブスクリプションサービスを提供しているオイシックス・ラ・大地(以下、オイシックス)が取り組むアップサイクル事業を通じ、水産業界でもっと取り組めることはないか探ってみたい。

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 オイシックスがアップサイクルに取り組み始めたのは2021年7月。見栄えや食感の悪さなどから畑や加工現場で未活用だった食材約73トン(1月26日現在)のフードロスを削減、環境負荷が低く、新たな価値を加えた自社オリジナルのアップサイクルブランド「Upcycle by oisix」の商品としてよみがえらせ、現在水産物を使った7品を含む63商品になった。

 取り組みの背景となったのは、同社の企業理念にある「これからの食卓、これからの畑」にある。食に対する課題をビジネスの手法を使って解決するという中で、世界的にも問題となっているフードロス問題と向き合う方法を模索。数ある取り組みの中でも、中学生とのコラボで出来上がった3商品の中に、水産物を使った「昆布の根元入り地球よろこーんぶそうめん」が入った。

 東海林園子オイシックス執行役員経営企画本部グリーンプロジェクトリーダーによると、「誰と取り組むべきか考えた結果、子供たちの力が必要ではと考えた」と話す。そこで国連の持続可能な開発目標(SDGs)に積極的に取り組んでいる東京・品川区にある青稜中学のSDGsゼミナールで特別授業を開講、約50人の中学生とアップサイクル商品の共同開発を行うことになった。「まず未活用のものにはどんなものがあるのか、オイシックス側からピックアップしたものを基に自分たちがその原材料を選んで、最終的には価値を付けたおいしい商品に仕上げるというところまで、ディスカッションを重ねながら開発を進めた」。[....]