魚食にっぽん[134]魚のヒレに魅せられて

2022年3月28日

ウオヒレウロ子の名前で活動する山辺恵美子さん

 生き物の絵を描く時、魚と動物・鳥との大きな違いは?ヒレ?の存在だろう。しかしながら食用としての価値は、フカヒレやエイヒレ、ヒレ酒など限定的で、大多数の関心事は身(肉)だ。しかし興味深く観察すると、魚種や部位で色も形も大きく異なり、個性豊かなことが分かる。

 東京・銀座の「すし処志喜」の女将、山辺恵美子さんは、魚のヒレをレジン(樹脂)でコーティングした「ウオヒレ」なるものを自作している。ヒレに魅せられた山辺さん流の楽しみ方だが、対象は観賞魚ではない。日々お店に届けられる食用魚だ。

 胸ビレだけを比較しても、丸くステンドグラスのように鮮やかな山吹色のアカハタや、細かな鰭条(きじょう、魚のヒレを支える線状の組織)と朱色が特徴的なキンメダイ、アマダイは珍しいひし形をしている。?ウオヒレ愛?が止まらない山辺さんの解説がなければ、気付きもしなかった。[....]