住友商事が日本独占販売、マレーシア昆虫由来タンパク

2023年5月2日

昆虫由来タンパクを製造するNT社の工場

 住友商事(株)はこのほど、マレーシアで昆虫由来代替タンパク質を製造するニュートリション・テクノロジーズ(NT社)との戦略ビジネスパートナーシップを締結し、日本向けの独占販売を発表した。日本向けには水産養殖飼料としての販売をメインターゲットとしており、マダイやエビを対象に研究を始めている。今年度中に販売を開始し2030年までに昆虫由来代替タンパクと油で3万トンの販売を目指す。

 住友商事は国内の水産養殖向け飼料として飼料メ―カーをターゲットに、昆虫由来代替タンパクとオイルを主力に販売していく。価格は魚粉価格と同程度の一トン当たり20万円を目標としており、高い免疫力や増肉のよさなどの特徴を付加価値とできるように現在評価を進めている。

 NT社は15年にシンガポールで設立。20年からマレーシアでアメリカミズアブ(BSF)の養殖、加工を始めており、商品は昆虫由来の代替タンパク、オイル、有機肥料の3つ。

 BSFには、食品加工場などから出る衛生的な食品残渣(さ)を餌として与えている。一般的にBSFの発育は1~2週間かかるとされるところを、NT社は与える餌を発酵させるなどの技術で7日に短縮させられる点が強み。欧州の昆虫養殖会社と比べると気温26~27度C、湿度60%程度という東南アジアの高温多湿な気候は空調を調整する必要がなく、製造コストの低減、二酸化炭素(CO2)の排出抑制にもつながっている。[....]