ナマコ育成礁を共同開発、無給餌でも高い生残率

2023年2月15日

ホタテ貝殻を使用し「ナマコのゆりかご」の内部構造?

 土木研究所寒地土木研究所(札幌市、寒地土木研)の水産土木チームと海洋建設(株)(岡山・倉敷市、片山真基社長)はこのほど、共同研究を進めていたナマコの中間育成礁の開発に成功したと発表した。この共同研究で初めて明らかになった食害生物から保護するとともに、生息・餌料環境の改善により、無給餌で放流効果が高いとされるサイズまで高い生残率で成長させることを実現した。今後は多様な利活用が進む漁港水域などでの活用が期待される。

       ◇       ◇       ◇

 両者はマナマコの種苗放流効果の向上を目指した技術開発で共同研究を続けていたが、この中で放流場所となる沿岸域においてオオヨツハモガニなどによる食害が起きていることを世界で初めて発見。実際に、顕微鏡による胃内容物観察や捕食試験速度などを明らかとし、ナマコが捕食されていることを確認した。育成礁の開発に携わった寒地土木研の稲葉信晴研究員によれば、オオヨツハモガニ以外の沿岸域に生息するヤドカリ類についても、ナマコの捕食が確認されているという。[....]