シェルナースで「海業」を

2023年1月5日

漁業関係者による基質製作

 政策の方向性として、日本各地の漁港で「海業(うみぎょう)」の取り組みがスタートする。漁業とそれ以外を融合させることで浜の所得向上を図り、地域(漁村)全体の活性化を目指す取り組みとして、多くの企画・アイデアが生まれることも期待される。こうした中で海洋建設(岡山・倉敷市、片山真基社長)は漁業振興と併せて環境教育なども実施してきた。今後は海業として展開していくことも期待される。

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 政府は昨年3月、新たな水産基本計画、漁港漁場整備長期計画を閣議決定した。その中に「海業による漁村活性化」も盛り込まれている。新計画発足にあたって海業を「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業をいい、国内外からの多様なニーズに応えることにより、地域の賑わいや所得と雇用を生み出すことが期待されるもの」という定義も示された。

 具体的計画として今後5年間で、漁港で海業などに取り組む件数を500件、都市漁村交流人口をおおむね200万人増やすという数値も掲げている。どちらも野心的な目標だ。海業に取り組む500件は「全国の(市町村など)漁港管理者が約450で、それぞれ1件は取り組んでほしい」という意味も込められており、その言葉通りに進めば全国津々浦々で取り組みが始まることになる。

 こうした情勢の中で、海洋建設が開発・製造する貝殻魚礁「JFシェルナース」や小型の貝殻魚礁である「貝藻くん」は、一見すると海業と関係が薄いように思える。ただ、両者とも離島再生交付金や水産多面的機能発揮対策など、海業に近い事業で多く採用されてきた実績をもち、海業への展開に期待できる取り組みも少なくない。

 その一つが「環境教育」だ。貝殻魚礁やシェルナースというとイメージがつきにくいかもしれないが、中心機能はメッシュパイプに敷き詰めた貝殻で、そこに海洋生態系の基礎を支えるベントス類や海藻類が多く付着。産卵場として機能しながら、隙間のある貝殻で身を守りつつ、それらを捕食する稚魚、それを狙う中型・大型魚?といったように、魚礁全体で一つの生態系を形成している。[....]