WTO安全性認定は維持も、禁輸継続に漁業者落胆

2019年4月16日

 韓国が日本産水産物などの貿易を規制していた問題で、世界貿易機関(WTO)の最終審に当たる上級委員会で日本側の主張が退けられ、韓国の輸入規制は今後も続けられる見通しとなった。自民党は日本側の主張が一部は認められたことなどから「日本の逆転敗訴ではない」との声明を発表、全面勝訴を見込んでいた全国の漁業者らからは「期待を裏切る形になった」と落胆の声が寄せられている。

 二審制であるWTOでは上級委員会において「パネルでの分析が不十分」として、パネルでは認めていた日本側の主張が退けられる結果となった。パネルでは韓国の禁輸措置は「恣(し)意的または不当な差別」「必要以上に貿易制限的」との日本側の訴えが認められたが、上級委員会では日本周辺の海洋環境や韓国が許容できる放射性物質の量などを十分考慮しなかったとして一審の判断を覆した。

 自民党はパネルでは「日本の食品が科学的に安全との認定は維持されている」と強調。「WTOは、日本産食品が安全であることについて広く世界に公表、発信すべきだ」と訴えている。

 上級委員会では日本が訴えていたうちの一つ、禁輸措置情報の提供が直前になったことについてはパネルの判断を認め、今後禁輸などの措置を取る場合には是正を求めた。[....]