<貿易-主要商材の回顧と展望>「円安」輸出も味方にできず

2024年1月1日

輸出が急減した両貝ホタテ

 足かけ4年にわたって世界を大混乱に陥れたコロナ禍は昨年、わが国でも感染症法上の「5類移行」が5月に施行されたのを契機に、ようやく経済が正常に向け回り出した。インバウンド(訪日客)も堰(せき)を切ったように押しかけ、同時に〝行き過ぎた〟国際商品の価格もモノによっては大幅に値下がりし、徐々に沈静化に向かっている。ただ、長引く円安で採算性は依然として厳しい。日本の水産貿易は、なお縮小を余儀なくされている。

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 日米の金利差拡大を発端に、1990年8月以来の1ドル150円台まで進んだ円安は、12月に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いたことで、ここを起点に今年は円安が是正されていくと予想されているものの、そもそもこの2年越しの急激な円安を追い風にできたはずの輸出事業は縮小し、逆風の輸入は何とか前年並みを維持しているといった状況だ。[....]