2024年1月12日
東日本大震災から13度目の新年を迎えた宮城県の沿岸都市。節目の10年を過ぎたあたりから復興の2文字を見聞きする機会はめっきり減ったが、それは決して描いた理想像が体現されたからではない。長きに及んだ新型コロナウイルス禍の混乱と制限、その間に加速度を増した少子高齢化と地球温暖化、ウクライナ問題に端を発した歴史的な円安と物価高。日本全体が国難ともいうべき危機にひんする中で、さまざまなハンディを抱えた被災地が健全に歩み続けるのは容易でない。強まる閉塞(そく)感を打破し、本州最大を誇った「水産みやぎ」の復活を果たせるのか。その可能性を探るべく、主要各港の動きなどを取材した。
◇ ◇ ◇
★<塩釜>数量・金額とも2ケタ増
生マグロの水揚げ拠点として知られる塩釜港。昨年はまき網とはえ縄で延べ5600トン、前年を2割近く上回る実績で「日本有数の産地」と評されるにふさわしい存在感を示した。新たな柱と位置付けるサバまき網は不漁のあおりでほぼ皆無に終わったものの、遠洋カツオ一本釣りは漁獲好転に伴って2倍増を達成。遠洋トロールによる搬入なども堅調だったため、量・額ともに2ケタ台に乗せる高い伸び率を記録した。[....]