<新年特集・宮城の水産>石巻、数量10万トンの大台回復

2023年1月12日

ギンザケは14億円超の金額増を記録

 東日本大震災から12度目の新年を迎えた宮城県の沿岸都市。節目の10年を過ぎたあたりから復興の2文字を見聞きする機会はめっきり減ったが、それは決して描いた理想像が体現されたからではない。加速の一途をたどる少子高齢化と地球温暖化、いまだ収束へのめどが立たない新型コロナウイルス禍、何もかもが青天井で跳ね上がる物価高。日本全体が国難ともいうべき危機にひんする中で、さまざまなハンディを抱えた被災地が健全に歩み続けることは容易ではない。強まる閉塞(そく)感を打破し、本州最大を誇った「水産みやぎ」の復活を果たせるのか。その可能性を探るべく、主要各港の動きを取材した。

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 石巻の特徴は懐の深さ。不得手とする漁業種・魚種が少なく、まとまってもさして苦にしない。いわば「何でもこい」のスタンス。だからこそ「不調があれば別で補う」という臨機応変の戦術が実行可能で、変調著しい漁海況の中でも全国指折りの実績を維持してきた。多くが苦戦した昨年も変わらずその強みを発揮。数量で2年ぶりに10万トンの大台を回復し、金額で23億円もの上積みを果たした。

 石巻魚市場がまとめた昨年(1月5日?12月28日)の水揚実績は数量10万3426トンで前年比5・1%増、金額185億5300万円で14・1%増となり、実数ではそれぞれ5027トン、22億9200万円増加した。隻数は4万3583隻で1・7%増、平均魚価はキロ179円で8・5%(14円)高だった。[....]