無投薬陸上養殖「美陵うなぎ」大阪・藤井寺から世界へ

2023年6月14日

無投薬で育つ「美陵うなぎ」

 (株)れいわ水産(田川裕二社長)が大阪・藤井寺市で無投薬・陸上養殖するブランド「美陵(みささぎ)うなぎ」の本格的な販売が始まり、注目を集めている。「美陵うなぎ」の名前は、同社のある地区がかつて美陵町と言われたことにちなんで名付けられた。

 藤井寺での養殖で大阪産(おおさかもん)の認証を得ているほか、抗菌剤や成長促進剤などを使わず無投薬で育てているのが大きな特徴。また、大阪からの出荷で消費地が近く、流通コストを抑えることが可能。同社のウナギは泥抜きなど臭みを取り除く作業も不要。3年から5年先を見据えて養殖していく。

 田川社長は「都市型養殖のモデルケースとなり、一部で衰退気味の水産業を力づける一翼を担いたい」と話している。

 当初は輸入ウナギの養殖許可証を仲介しようと希望者を募っていたが、水環境設備機器の販売施工などを行う企業と一緒に、同社敷地内に設備を整えてウナギ養殖に取り組み始めた。

 2021年11月と22年2月、フィリピンからニホンウナギに味が近いとされるビカーラ種のクロコ各回約3万尾を輸入。同所で水道水を利用して養殖。昨年12月ぐらいから販売を始めた。

 養殖は、900ミリ×450ミリ×400ミリの水槽12基が入ったコンテナが3つ(合計36水槽)と、家庭用ビニールプール2つを使っている。保温冷却には家庭用のエアコンを活用し、水温は28~30度Cに保つ。餌は、家庭用の餅つき機でこねてから、煎餅状に延ばしてウナギが食べやすいようにして与えている。

 養殖は社長のほか、社員1人、パート2人で交代。午前9時~午後1時ごろまで給餌や水槽掃除などを行い、その後は出荷などの時間に充てている。一か月のランニングコストは約150万円。太陽光発電などの導入も検討し、さらにコスト削減を進める。[....]