岩手アサリ養殖試験 本格化 

2023年8月22日

JF三陸やまだ漁協での沖出し作業

 【釜石】岩手県でアサリ養殖の事業化に向けた試験が本格化している。漁場の高温化により特産のホタテが生育不良となっている状況に対応した取り組みで、県が今年5月から3か所で合計18万個と本格的な海面養殖試験を開始した。単価の安さなどもあり単純な代替にはならないが、一定の需要がある貝のため、成功すれば漁業者の収入を支える有力な養殖種となりそうだ。

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 岩手県では近年、沿岸水温の温暖化が顕著となっている。冷水性のホタテにとって高水温は大敵で、23~25度Cが「限界」とされる。県水産技術センター(釜石市)によると、近年は20度Cを超える漁場も多く、「すでに生育不良や斃(へい)死を引き起こす厳しい環境」にある。今後悪化する可能性もあるため、代替となる魚種の検討が急務となっていた。

 また東日本大震災以降は貝毒の原因プランクトンの発生も頻発。ホタテは毒素をため込みやすい性質があり、出荷できる時期が非常に限られるという状況もあり、漁業者にとって大きな打撃となっている。[....]