フグはえ縄漁をデジタル化

2023年12月6日

漁獲と環境データを表示するアプリ画面

 山口県のフグはえ縄漁業で、漁場選択の効率化に向けたデジタル化の研究が始まっている。フグの分布が多い海底水温を自動で取り込み、スマートフォンの海図に漁獲記録と重ねて表示することで、次の縄をどこに仕掛けるかの判断材料とする。漁業者の経験を生かしつつ、さらに環境データと漁獲の相関を追求しながら、コスト削減や操業時間の短縮を目指す。

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 研究は山口県から委託を受けた「スマート水産業社会実装推進事業」のもとで実施しており、水産研究・教育機構水産大学校の松本浩文准教授を中心に取り組んでいる。

 松本准教授は当初、はえ縄漁業者から「実際に魚がいる環境のデータが欲しい」と相談された。海洋の表層水温や流速は入手できても、フグが生息する水深100メートル以深は水温も潮流も異なる。どの水温帯に多く生息するかの答え合わせができず、それだけに漁場選択は漁業者の経験や勘の占める割合が高かった。[....]