トラフグ放流、地場産親魚で初種苗

2023年7月28日

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トラフグを放流する福会の漁業者

 神奈川県水産技術センターは25日、県産トラフグで種苗生産した約5センチの稚魚4200尾を、横須賀市の長井漁港内で放流した。今年4月にJF長井町漁協が事務局を務めるトラフグはえ縄漁業者部会「福会」(漆山晃会長)から受け取ったトラフグを使っており、県産親魚で稚魚を生産した初の事例となる。トラフグ資源の維持・拡大、漁獲の安定化に期待が高まる。

 稚魚は福会の漁業者や神奈川県立海洋科学高校の生徒らにより湾内へ放流され、力強く泳いでいった。

 トラフグは縄張り意識が強くデリケートな魚のため、他県では大型水槽を使った親魚の飼育が一般的だ。一方、同センターでは施設の生産能力の関係もあり、1トンサイズの水槽を使用。かみ合い防止のため一尾ずつ飼育した。

 栽培推進部の一色竜也部長は「1トン水槽で数週間も飼育できるか、不安もあったが、思った以上にうまくいった」と評価。武内啓明技師は「コンパクトな設備で種苗生産に成功したのは全国でも初めてではないか」と推測する。[....]