アイエスイー「うみログ」、伊勢湾黒ノリ養殖で活用

2023年4月21日

ノリ養殖の支柱に設置されたうみログ

 海洋や害獣分野でモノのインターネット(IoT)事業を展開する(株)アイエスイー(三重・伊勢市、髙橋完社長)が販売するIoT海洋モニタリングシステム「うみログ」は、30分ごとに海象データをクラウドサーバーに配信し、利用者のスマートフォンでデータを閲覧できる。2020年から継続して利用する三重・伊勢湾の黒ノリ養殖では、確かな成果に結び付いている。

 漁場に設置するうみログは、カメラ機能のほか水温や水圧、クロロフィルなど最大で9個のセンサーが搭載可能。利用者は陸上からいつでも漁場の様子を確認できる。収集データは時系列で表示され、傾向分析にも役立っている。

 3年前に導入した伊勢湾のノリ養殖業者は、これらのデータを活用し(1)高水温(2)異常潮位(3)食害(4)色落ち―の4つの課題解決につなげている。

 ノリ網の本張りは例年11月上旬ごろに行っていたが、近年は高水温の影響でその時期が予測しづらい。このため、うみログを用いた観測を取り入れ、海に出なくても水温傾向が確認でき、最適なタイミングで本張りができるようになった。

 支柱式の場合は潮位に合わせ、ある程度の干出時間を設けなければならないが、5年ほど前から黒潮蛇行の影響で、実際の潮位と天文潮位に大きな差が出ている。18年には予測値より30センチほど潮位が高くなり、干出が十分にできないため大不作になった。現在では、うみログで観測される実際の潮位を見ることでノリ網の干出状況を確認でき、早急な対応につながっている。[....]