超電導舶用小型モーター、海洋大と新日鉄住金など開発

2018年8月8日

クリックで画像を大きく表示します

新たに開発した超電導モーターを解説する和泉東京海洋大教授。

東京海洋大学と新日鉄住金、スイスの産業用電機大手ABBは3日、低回転で高いトルク(軸回転力)をもつ超電導モーターを開発した、と発表した。リニアモーターカーに用いられる超電導技術を応用、「大きさを半分以下に抑える」とし、5?10年後に船舶の電動モーターの実用化を目指す。
 研究グループは高密度の磁場を保持する超電導材料にガドリニウムとバリウム、銅の酸化物を用い、5センチ角の正方形に加工したバルク(塊)状の磁石を開発、モーターに組み込んだ。超電導材料を電線に加工し、コイル式の線材タイプと比べ、電線が切れて電流モーターが動かなくなる問題がない。
 バルク材は非常に低い温度へ冷却すると、電気抵抗がゼロの超電導状態になり、磁場を与えると発生した電流でモーターを回し続ける。30キロワットの出力がある実証試験機は、10か月間の連続回転で能力を落とさない高い安定性を確認した。抵抗試験でも600時間以上の連続稼働を実証した。
 3日の会見で東京海洋大の和泉充教授は、「信頼性のあるモーターが実証できた」と成果を報告、電気推進の遠洋漁船や内航船のほか、風力発電への転用も想定している。和泉教授は内航船を1年間運航する想定で「年間10万キロリットルの燃油削減が試算できる」と、省エネ効果にも強調した。[....]