巨大氷河を解かす暖水渦

2021年11月1日

東南極で最大級のトッテン氷河

 国立極地研究所の研究者らで構成される合同研究グループは10月26日、東南極で最大級の氷河「トッテン氷河」の沖合にある巨大な海洋渦が、温度の高い海水を南極大陸へ運んでいることが分かったと発表した。暖かい海水は、氷床(長い年月をかけて押し固められた氷河が大陸規模に厚く広がったもの)を下から解かしており、トッテン氷河周辺の氷床流出のプロセス解明につながると期待される。

 これまでの観測で、沖合を起源とする暖かい水がトッテン氷河の前面に分布することは分かっていたが、暖かい水がどのように沖合から大陸氷河方向へと運ばれるかについては不明だった。トッテン氷河の沖合には水平方向には100?200キロメートル程度の巨大な時計回りの海洋渦が存在していることが知られていたため、国立極地研究所、東京海洋大学、水産研究・教育機構、北海道大学の合同研究グループはこの海洋渦が大陸方向へ沖合の暖かい水を運ぶ重要な役割を担っていると考え、トッテン氷河沖での海洋観測を実施した。 [....]