<主導権失う水産物輸入>強い経済で消費の立て直しを

2023年1月1日

乱高下したカナダNFズワイガニ

 丸3年を過ぎた新型コロナウイルス禍も、なお予断を許さないとしても世界的にはすでに出口戦略が本格化している。いささか出遅れ気味にもみえる日本経済は、昨年も買い負けやエネルギー問題、さらに急激な円安に翻弄(ろう)された。こと輸入水産物は、国際価格の上昇を容認せざるを得ない形で多少の挽回をみせたが、国内消費はその高値を受け入れがたく、暮れに向かって需要の弱さが目立った。国内経済の立て直しが喫緊の課題だ。

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 ひと足早くコロナ禍を脱却した欧米需要の急拡大で、水産物においても世界的な需給の均衡が一気に崩れて、あらゆる商材が急騰し始めたのが一昨年の後半からだが、昨年はこれにロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー問題や地政学的リスクが加わって、わが国の水産物貿易もかつてない混乱に巻き込まれた。

 安定的に買い付けされていた北欧の空輸サーモンは、ロシア上空を回避するため迂(う)回路が模索されたものの空輸フレートは3倍に跳ね上がり、池出し価格の値上がりに加えて輸送コストの上昇で内販価格が急騰した。

 空輸だけでなく、海上輸送もコンテナ不足や航路変更が相次ぎ、予定した貨物が予定通りに到着しないばかりか、「ゼロコロナ政策」に固執した中国での第三国加工が滞ったこともあって、例えば年末商材のカズノコが届かないなど搬入の遅延にもつながった。

 さらにウクライナ情勢は世界のエネルギー価格を押し上げ、流通コストのみならず各国漁船の稼働コストにも影響した。船を出す燃油は高騰し、コロナ後の人員不足も加わって漁労コストに見合わない操業は敬遠され、出漁する生産コストを補償しなければ望む原料が手に入らなくなった商材もある。[....]