日本の資源に危機感「全体で一歩譲り動く時」

2023年7月21日

日本の漁業の将来についてオンラインを含め議論されたセミナー

 日本経済調査協議会(日経調)が19日に開催した第163回セミナー「食べる魚がなくなった日本漁業」で、第3次水産業改革委員会のメンバーでもあるマルハニチロの池見賢社長が「水産資源を持続させるために何が必要か?」をテーマに講演した。池見社長は、世界で日本のみ水産資源が減少している状況に疑問を示しつつ、「いま一度、日本の水産資源がどんな状態かをきちんとデータを取り科学的に検証すべきだ。国が資源管理をすべて担うくらいのチャレンジが必要ではないか」と提言し、「水産業のステークホルダー(関係者)がそれぞれ一歩譲って資源管理に動くべきではないか」と訴えた。

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 池見社長は講演で、海外ではグループ会社からも強い事業拡大要求があることを踏まえ「世界の水産業の成長産業化を実感する」とする一方で、「国内では前浜で缶詰にする原料がない」と世界とは対照的な状況に陥っていることを説明。日本の水産物がなぜ減少したかの自問にサバを例に挙げながら、「ノルウェーでは生産が右肩上がりが続き、割当も100%近い消化率を達成している一方、日本では資源評価は良好とされながら多くのサバは食用以外に回り、消化率も59%にとどまっている」状況に疑問。[....]