岡山大発ベンチャー企業、サケ稚魚の夜間自動計測成功

2023年4月26日

夜間の飼育池中を泳ぐサケの稚魚の寸法計測実験画像

 岡山大学はこのほど、同大発のベンチャー企業である(株)ビジュアルサーボ(見浪護特命教授が起業)がサケの稚魚の夜間自動計測実証実験に成功したと明らかにした。ふ化養殖場で飼育される30~50ミリの小さいサケの稚魚を遊泳状態のまま計測できれば、より健全な種苗の確保につながり、将来的なサケの回帰来遊数の増加が期待できる。

 資源保護を目的として40年以上行われているサケの親魚捕獲・人工ふ化・養殖・放流は、健全な種苗かどうかを判断する基準の一つに肥満度の確認がある。従来は稚魚を捕獲して麻酔をかけ、ノギスや電子てんびん計を活用した計測に依存していて、遊泳状態のままサケ稚魚を自動計測する技術が望まれていた。

 同社は、複眼カメラの視差を使った空間計測技術を、泳ぐサケの寸法計測に応用した自動寸法計測を研究しこれを確立。最初に行った、稚魚の動きが活発で密に群れをつくる日中の実験(2月6~8日)は計測に失敗していたものの、群れをつくらず低速で泳ぐ夜間に照明装置付き複眼水中カメラで実証実験をして今回、測定に成功した。

 実験は4月14~16日に、日本海さけ・ます増殖事業協会の協力を得て、100万尾の飼育を行う北海道京極町の京極ふ化場で行われた。

 同社を起業した見浪特命教授は、今回の実験のベースにある技術の社会実装を進めるため、魚計測の分野で協業できるパートナーを探している。[....]