マダコ養殖実用化種苗技術確立へ道、水産機構が成果発表

2018年2月20日

マダコ種苗技術の開発に成功した研究成果を発表する團主任研究員

  水産研究・教育機構は、マダコの種苗生産技術の開発に成功した。新たな水流装置と栄養を強化した餌の給餌により稚ダコの生残率を飛躍的に向上させ、不可能とされてきたマダコ養殖へ道を開いた。

 16日に都内で開かれた第15回成果発表会で、瀬戸内海区水産研究所海産無脊椎動物研究センター甲殻類グループの團重樹主任研究員が発表した。水槽中のマダコ幼生は酸素供給時に発生する下降流に流され沈降、ヒレや浮袋をもたず遊泳能力が弱いマダコ養成が下降流に流されることに着目。沈んだ幼生は摂餌を中止し疲弊し死亡すると考えた。そこで、團主任研究員らは、湧昇流を発生させ幼生の遊泳を助ける水流装置を開発し、エアレーションは隔離水槽に設置した。また、餌に栄養強化ワムシを食べさせたガザミのゾエア幼生を与え実験にも取り組んだ。

 その結果、着底稚ダコ2769体を77%の高い生残率で飼育できることを確認した。これまでの研究と比べ着底まで23日と飛躍的に早い成長も達成した。團研究員は「マダコ養殖が一気に進むと期待できる」話す。今後は稚ダコの大量生産技術の開発やその後の飼育技術の開発が課題という。[....]