サーモンはなぜ日本人に愛されるのか

2023年4月28日

活動の一つ「出張サーモン解体ショー」(※現在はコロナ対応のため休止中)

 マルハニチロ(株)が3月に公表した「回転寿司に関する消費者意識調査」によると、回転寿司の人気ネタ1位はサーモンで、12年連続だった。「江戸前のにぎり1人前」にも、当たり前にサーモンが入っている現在。日本人のサーモン好きは疑いようのない事実だが、その理由はなぜか。全日本サーモン協会の中尾晋代表の考えを聞いた。

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 〝サーモン中尾〟の名で広報活動に努める中尾代表によると、特に若い世代で「魚はサーモンしか食べない」という人がいるという。(株)アイ・エヌ・ジーが調査した2021年夏の高校生トレンドランキング「今流行っている食べ物」では、なんと7位がサーモンだった。

 ちなみに同調査で上位は、1位地球グミ、2位モッパンセット、3位カヌレとなっている。こうしたはやり物の中にあって、堂々とサーモンがランクインしていたのだ。商品名や料理名でなく、素材名であることも意表を突く。もはや魚という感覚ではないのだろう。

 では、なぜサーモンが愛されるのか。中尾代表は理由の一つに「オレンジ色をベースに、白のストライプも入るカラーリング」と答えた。餌となる甲殻類がもつアスタキサンチンの働きで、サケ科魚類の特徴だ。確かに天然の生物では、ほかに見当たらない。「生き物の奇跡」と表現する。

 実際に中尾代表が主催したサーモンのイベントでは、ある女子高生の参加理由が「だってオレンジでテンション上がるじゃん」だったそうだ。

 ただしサーモンは「色の主張が強いにもかかわらず、クセの少ない魚だ」とも分析する。「サーモンの風味が強い」という味の評価を、あまり聞かないのはそのためか。魚臭さや魚特有の香りも少ない。シチューにサーモンは合うが、「サバだって」とはならない理由だ。

 やはり色の違いが大きいのか――。「量販店でもパッと見ただけでサーモンだと分かる」「アジやサバがオレンジ色なら、今より何倍も売れているだろう」「SNS(交流サイト)映えする食品。時代がやっとサーモンに追い付いてきた」と、中尾代表は畳みかける。[....]