「大食い」のオオグソクムシ、一度に6年分のエネルギー獲得

2023年3月29日

厳しい環境下で生きるオオグソクムシ

 長崎大学水産学部の八木光晴准教授らの研究グループは17日、オオグソクムシは体重の45%の餌を食べることができる「大食い」で、約6年分のエネルギーを一度の食事で獲得できることが明らかになったと発表した。水温の上昇に伴い代謝量が増加することも明らかになり、今後は深海生物だけでなく魚類全般の代謝についても調査を進めることで、気候変動の生態系への影響などの解明に寄与する可能性がある。

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 研究グループがオオグソクムシを呼吸室に収容して酸素消費量から代謝量を計測したところ、摂餌後に代謝量が上昇する特異動的作用が深海生物では初めて確認された。6、9、12、15度Cで安静時の代謝量を比較した結果、水温が10度C上昇すると代謝量は2・4倍に増えることも明らかになった。

 また、餌を与える前後のオオグソクムシの体重を比較したところ、自身の体重の45%の餌を食べられることが判明し、体重33グラムのオオグソクムシの年間消費エネルギーは水温10・5度Cの時に約13キロカロリーになることが分かった。

 オオグソクムシは海底に沈んだクジラなどの死骸を餌にするが、仮に体重の45%の量のクジラの脂身(15グラム当たり85キロカロリー)を食べると、安静時で約6年分のエネルギーを獲得できることになる。[....]