広島、欧州向けカキ輸出開始

2023年3月15日

イルマン総領事㊨らへカキの解説をする川﨑部長(㊧から3人目)

 広島県は10日、県産カキの欧州輸出が始まったことを受け、在京都フランス総領事館のジュール・イルマン総領事らと都内で交流会を開いた。クニヒロ(株)(尾道市、新谷真寿美社長)が2月に輸出を始めた冷凍カキなどを提供。クニヒロの川﨑耕平事業開発部長は「フランスで認められれば、欧州連合(EU)内に商圏を広げられ、日本のカキ産業にも還元できる」と展望する。

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 EU圏への輸出は、昨年9月に県とともにフランスやドイツなど4か国を訪問し、手応えを感じたという。川﨑部長は身が厚くて生食のほか、焼く・揚げるなどの料理も提案しやすく、ソースにも負けない味わいが「欧州産とは別物。料理の多様性がある」など、高い評価を得たことを述べた。今年1月に冷凍殻付きカキ(生食用)で初となる農林水産省のEU・HACCP施設に同社工場が認定され、2月から欧州輸出を開始している。

 これまで同社の輸出事業はアジア圏を中心に、むき身や殻付きを冷凍販売してきた。欧州へは殻付きのまま冷凍処理したカキを主に船便で輸送、解凍後は生食もできる。

 国内では殻むき職人の高齢化や担い手不足に課題を抱える。殻付き販売でこの問題をクリアし、さらにカキ本来の風味なども味わってもらう考えだ。「現地の方の評価を上げることでインバウンド消費も拡大させ、相乗効果を国内の生産分野にもフィードバックさせたい」と、狙いを語った。[....]