サンマ漁獲枠合意せずも「前進」、NPFC会合が閉幕

2018年7月9日

年次会合閉幕後に記者会見する水産庁の神谷部長(左)と農林水産省の香川謙二顧問(政府代表・議長)

 北太平洋公海の漁業資源の管理について話し合いを続けてきた北太平洋漁業委員会(NPFC)第4回年次会合が5日に閉幕した。サンマの資源保護について日本は、まずは北太平洋条約海域(公海)に漁獲上限を設ける枠組みづくりで各国の合意を試みたが中国などが反発し昨年に続き合意には至らなかった。ただロシアのほか5か国が賛成に回るなど対中国包囲網を着実に狭めることができた。
 中国は日本の提案に対し「資源評価に明確な科学的根拠がなく、判断できない」と主張、「漁獲規制は時期尚早」と反対。バヌアツも「中国の立場を支持する」と同調した。
 対して排他的経済水域(EEZ)でもサンマを獲るロシアは公海漁業の急速な発展後に来遊尾数が激減している事態を憂慮。公海域で最も漁獲量の多い台湾もこれ以上他国に漁獲実績をつくらせないためとの考えから日本案を支持した。同じく公海で操業する韓国と、非漁業国の米国、カナダも「資源減少は明らかで、数量管理を導入する時期にきている」と賛成した。
 規制導入は加盟国・地域の4分の3以上の賛成が規則にある。全員一致を目指す慣習から採決はせず、規制導入は見送りとなった。来年4月の科学委員会で一致した資源評価結果を得るための作業には合意を得た。水産庁資源管理部の神谷隆部長は「大きな前進」との認識を示した。[....]